31209:500Cの性能と維持費 FF/5AT 4人 290万円 2021年式

このページでは、フィアットの3ドア・4人乗りオープンカー、3代目の3BA-31209型500C TwinAir Dolcevita【2021/10モデル・85PS/14.8kgm・FF/AT車】のカタログスペックを基に、税金と年間維持費、車検費用の目安の算出、主要諸元から推測される走行性能のインプレ評価およびレビュー、並びにタイヤサイズ変更のシミュレーションをしています。

31209 500C
販売期間:2008/03 -

画像はフィアットより引用
http://www.fiat-auto.co.jp/
投稿:2022/10/27|更新:2023/11/01

ボディサイズが全長3570mm×全幅1625mm×全高1515mm、排気量は875ccであることから、大雑把に分類すると0.9リットルクラス(900cc、自動車税は1.0L以下を適用)に属した、いわゆる5ナンバークラスの車です。とにかく排気量を増やして、とにかくボディを大きく、特に全幅を広げれば良いんだという風潮が蔓延る現代においては大変貴重な車となっています。

駆動方式にはエンジンを車体の前方に搭載し、前輪のみを駆動する、フロントエンジン・フロントドライブ方式(FF・FWD・前輪駆動とも)を採用しています。この方式はエンジンと駆動系(ミッション、デフ等)の収納がエンジンルーム内で完結するので、軽量コンパクトかつ低コスト化が実現でき、室内を広く作りやすい(エンジンが横置きの場合)ほか、後輪駆動車に比べて直進安定性に優れることが主な特長です。

ちなみに、車体形状や用途に関係なく全長のみを基準とした分類方法で各セグメントに当てはめると、全長が3570mmであるこの車の場合は「スモール」(Small:3500mm超-3850mm以下・Bセグメント相当)に属します。※国や時代によって基準は異なります。


31209型 500C [875cc/85PS FF/5AT] お品書き


維持費にまつわるエトセトラ

エンジンの最高出力・最大トルク

ギヤ比と加速・回転数と最高速

タイヤサイズ変更とメーター誤差

各種スペックの相対評価と通知表
お金にまつわるエトセトラ
1年間のランニングコスト
エンジン性能と特性
パワーウェイトレシオ
ギヤ比と加速力&
エンジン回転数と最高速
タイヤサイズ変更と
スピードメーター誤差
各種スペックの相対評価と
レーダーチャート

3代目500Cの類型&他グレード 新着順

  • 吸気方式のNAは自然吸気、TBはターボ、SCはスーパーチャージャー、TSはTB+SCの略
  • 燃費の文字が赤色のものはレギュラーガソリン、青色のものはハイオクガソリン、緑色のものは軽油を燃料とするエンジンを搭載した車種

年式
画像
車両型式
グレード
出力
燃費
2021/10
31212型
[1.2 Cult]
1.2L-NA | FF/5AT
| 285.0万円
69PS
10.4kgm
17.5km/L
2011/03
31209型
[Twin-Air Lounge]
0.9L-TB | FF/5AT
| 279.0万円
85PS
14.8kgm
21.2km/L
2010/08
31214型
[1.4 Lounge]
1.4L-NA | FF/5AT
| 289.0万円
100PS
13.4kgm
13.8km/L
3代目500Cの車両型式・グレード一覧【全16車種】
500Cの旧型モデル
初代 31214T型アバルト595C
31214T型アバルト595Cは2013/01に登場した初代モデル。参考車両の「Turismo」は全長3660mm、全幅1625mm、全高1505mmの車体に、165PS/21.4kgmを発生する312B3型1368ccエンジンを搭載。


主要諸元とエンジン諸元

主要諸元
メーカー FIAT
車名&
グレード
500C
TwinAir Dolcevita
その他 ツインエア ドルチェヴィータ | ECOスイッチON時は57kW/100Nm
お値段 2900000円
車両型式 3BA-31209
駆動方式
変速機
FF・前輪駆動(FWD,2WD)
5速AT・5速オートマ車
ドア/定員 3ドア/4名乗車
車体寸法 長3570×幅1625×高1515mm
軸距&
輪距
2300mm
前1415mm/後1410mm
最小半径 4.7m
タイヤ 前輪:185/55R15
後輪:185/55R15
ブレーキ 前:ディスク
後:ドラム
車両重量 1050kg
エンジン諸元
原動機型式 312A2
気筒配列 直列2気筒
排気量875cc
圧縮比10.0
吸気方式 自然吸気(NA・ノンターボ)
最高出力 85PS[62kW]/5500rpm
最大トルク 14.8kgm[145Nm]/1900rpm
使用燃料 ハイオクガソリン
WLTC燃費 19.2km/L(45.2mpg)
100km燃費 5.2L/100km
312A2型エンジンの諸元と性能まとめ
直列2気筒とは‥シリンダをシリンダを真っ直ぐ一列に2個配置する方式。軽量コンパクトながら振動に難あり。
直列2気筒の最高出力ランキング

税金と年間維持費のシミュレーション

ここでは、春になると毎年欠かさず支払いを催促される自動車税25000円、払わなければ車検を受けさせてもらえない自動車重量税12300円/年と自賠責保険料8825円/年、年間1万km走行した際に掛かるガソリン代月額4500円の任意保険に加入し、走行5000km毎にエンジンオイル交換、5年5万km毎にタイヤ交換するとしたときの年間維持費(ランニングコスト)を見てみます。

さらに、500Cの新車を333.5万円(諸費用として43.5万円を加算)にて購入し、頭金なしで5年ローンを組んだと仮定したときの年間支払額(金利分は含まず)も踏まえて、上記の維持費と合算した場合の想定維持費も計算してみました。

  • ローンの年数については月額5万円の支払いを基準として、ローンの支払額が60万円以下は1年、120万円以下は2年、180万円以下は3年、240万円以上は4年、それ以上は5年としています。
  • 任意保険の金額については特に根拠のない一例です。具体的な掛け金は運転者の年齢や家族構成、年間走行距離、保険内容、車両保険の有無等によって大きく異なります。
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新車で買った場合の年間維持費

名目 区分 金額
自動車税(1年分) 1000cc以下 13年未満 25000円
自動車重量税(1年分) 1.5トン以下 13年未満 12300円
自賠責保険料(1年分) 自家用乗用車 8825円
年間10000km走行燃料代
年間7000km走行の場合
年間5000km走行の場合
年間3000km走行の場合
10000km÷19.2km/L×180円/L
7000km÷19.2km/L×180円/L
5000km÷19.2km/L×180円/L
3000km÷19.2km/L×180円/L
93750円
(65630円)
(46880円)
(28130円)
オイル交換(5000km毎) 1回3500円×2回 7000円
タイヤ交換(5年5万km毎) 1本10000円×4本÷5年 8000円
任意保険料(月額4500円) 月額4500円×12ヶ月 54000円
ローン完済後の年間維持費 208900円
名目 区分 金額
車のローン額(1年分) 月額55580円×12ヶ月 666960円
ローン返済中の年間維持費 875900円
次回車検費用の積み立て目安
重量税2年分+自賠責24ヶ月分+検査手数料等3000円程度 45300円
名目 金額
自動車税(1年分) 25000円
自動車重量税(1年分) 12300円
自賠責保険料(1年分) 8825円
年間10000km走行燃料代
年間7000km走行の場合
年間5000km走行の場合
年間3000km走行の場合
93750円
(65630円)
(46880円)
(28130円)
オイル交換(5000km毎) 7000円
タイヤ交換(4年4万km毎) 8000円
任意保険料(月額4500円) 54000円
ローン完済後の年間維持費 208900円
名目 金額
車のローン額(1年分) 666960円
ローン返済中の年間維持費 875900円
次回車検費用の積み立て目安
重量税2年分+自賠責24ヶ月分
+検査手数料等3000円程度
45300円
  • 初度登録から3年経過車の場合、「1000cc以下で13年未満」クラスの自動車税は25000円、「1.5トン以下で13年未満」クラスの自動車重量税は12300円(単年)です。
  • エンジンオイル交換の金額は、5000km走行ごとに3500円のオイル交換作業を年2回行うと仮定した場合のもの。
  • タイヤ交換の金額は、1本10000円のタイヤ4本を4年周期で交換すると仮定した場合のもの。
  • 任意保険料の金額は、月額4500円の保険に加入した場合の12ヶ月分の支払い額。
  • 2015年4月1日からの自動車税の割増(10%増税→15%増税)に対応。
  • 2016年4月1日からの自動車重量税の変更に対応。
  • 2019年10月1日以降に新車登録された自家用乗用車の自動車税額変更に対応。
    ただし今流行のエコカー減税(自動車税、自動車重量税等の減免)には対応できていません。
  • 2021年4月1日からの自賠責保険料の改定に対応。
  • 燃料消費率が緑文字のWLTCモード燃費はカタログ値の100%を、青文字のJC08モード燃費は93%を、赤文字の10・15モード燃費は85%を実燃費と仮定して計算。
  • 名目にある金額の基準は、年間維持費の算出基準まとめ をご覧ください。
  • 車検費用の目安とした45300円は、車検にまつわる全ての作業を自分自身で行うユーザー車検を想定したもので、車検代行を利用するなら車検代行手数料(15000円前後)が別途で必要です。
    安心安全の自動車整備工場にお任せするなら部品代と工賃(整備内容により変動)、24ヶ月点検整備(20000円前後)が追加され、車検費用は相応に高くなります。

500C【TwinAir Dolcevita】の場合、維持費の月額は17500円(ローン完済前は73000円)になり、これは今にも壊れそうな格安車、あるいは維持費の安さに全てを懸けたスペシャルマシンから少しステップアップしたクラスになります。

「廉価車にしか乗れなかった自分が、ついにこれだけの維持費が掛かる車を所有できるようになったのだ、新しい自分になれたのだ。あの頃のアタシ、サヨナラ…」とかいう謎のカタルシスに浸りつつ、はるか高みで微笑む理想の自分に近付けるよう自分磨きに邁進しましょう。車としての維持費は安いほうで使い勝手も申し分のない、バランスの取れたクラスです。


燃料価格が高騰したり下落したりの燃料代シミュレーション

現代の社会というものは地から湧き出る油により支配されており、油そのものの価格の高騰と下落、為替の値動き(円安と円高)など、その時々の世界情勢に応じて価格が変動するたびに右往左往させられます。

ここ最近は原油高+円安という、爪に火を点しながら生活している庶民にとっては最も好ましくないシチュエーションの真っ只中にあり、「なんとかなれーッ!なんとかなれーッ!」と祈りながら日々を過ごしている人も少なくないことでしょう。

というわけで、原油安+円高の時勢を夢見て将来の皮算用をする、あるいは原油高+円安に備えて無欲を極めるなどするために、ハイオクガソリン1リットルあたり180円を基準として、-50円となる130円から、+50円となる230円の間で変化した場合の10000km走行燃料代を、燃費19.2km/Lとしてシミュレーションしてみました。

燃料価格/L10000km燃料代
[差額]
-50円
130円/L
67720円
[-26030円]
-25円
155円/L
80740円
[-13010円]
-10円
170円/L
88560円
[-5190円]
180円/L93750円
[0円]
+10円
190円/L
98980円
[+5230円]
+25円
205円/L
106790円
[+13040円]
+50円
230円/L
119810円
[+26060円]

燃費19.2km/Lの31209型 500Cで10000km走行するのに必要な燃料は520.9L、1リットルあたり180円としたときの燃料代は93750円になります。

参考までに、500Cの燃料タンクは35リットルですので、520.9Lの給油回数は15回、1回あたりの燃料代は約6250円です。

ここから10円安く、あるいは高くなった場合、燃料代としては5230円の上下となり、(差額だけで見れば)まだどうにかなる範囲です。が、もしこれが25円になると13040円、50円も違ってくると26060円にもなります。

これを31209型 500Cの年間維持費に当てはめてみますと、ハイオクガソリン1リットルあたり180円の場合を208900円としたとき、130円/Lに値下がりすれば182870円(87.5%)に、230円/Lに値上がりすれば234960円(112.5%)になる計算です。

安くなるものについては自動車税(25000円)なり重量税(12300円)なりの税金、各種消耗品の交換整備に充当することもできますが、問題は高くなった場合です。

ただでさえ燃料代が嵩んでいるのに(ガソリンの半分は税金でできています)、原油が高くなればエンジン、ミッション等の油脂類、タイヤ代も当然値上げ、さらに上乗せできっちり徴税されるのですから、まったくもって自動車の維持費は青天井です。

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低走行距離での年間維持費|3000km・5000km・7000km

せっかくのマイカーを前にして、あまりにも涙ぐましい経費削減は気の引けるものですが、しかし先行き不安なこのご時世では背に腹はかえられないのもまた事実です。

走行距離が少なくなればガソリン代は目に見えて削減されますし、タイヤは摩耗が減って長持ち、オイル交換も年1回になってお財布もニッコリ…いうわけで、ここでは年間走行距離を3000km・5000km・7000kmとしたときの年間維持費をシミュレートしてみます。

年間3000km走行の場合
名目 金額 比率
自動車税 25000円 20%
自動車重量税 1年分 12300円 10%
自賠責保険料 1年分 8825円 7%
燃料代 3000km分 28130円 22%
オイル交換 年1回 3500円 3%
タイヤ交換 6年毎 5330円 4%
任意保険料 80% 43200円 34%
合計
[1万kmとの差額]
126300円
-82600円
-
年間5000km走行の場合
名目 金額 比率
自動車税 25000円 17%
自動車重量税 1年分 12300円 8%
自賠責保険料 1年分 8825円 6%
燃料代 5000km分 46880円 32%
オイル交換 年1回 3500円 2%
タイヤ交換 6年毎 5330円 4%
任意保険料 85% 45960円 31%
合計
[1万kmとの差額]
147800円
-61100円
-
年間7000km走行の場合
名目 金額 比率
自動車税 25000円 15%
自動車重量税 1年分 12300円 7%
自賠責保険料 1年分 8825円 5%
燃料代 7000km分 65630円 38%
オイル交換 年1回 4900円 3%
タイヤ交換 6年毎 5330円 3%
任意保険料 90% 48600円 29%
合計
[1万kmとの差額]
170600円
-38300円
-

自動車税、重量税、自賠責保険については、走行距離がどうであろうと変わりませんが、ガソリン代は走行距離に応じた分だけ削減、オイル交換は年間3000km走行と5000km走行は年1回、7000km走行は1回分+αの金額としています。

タイヤ交換費用については、スリップサインまで40000km持つものとして走行距離に応じて按分(ただし最大6年で交換とする)、任意保険料については、年間3000km走行は10000km走行での保険料54000円の80%、年間5000km走行は85%、年間7000km走行は90%の金額に割引されるものとして計算しました。

年間3000km走行では、10000km走行に比べて82600円安い126300円に、5000km走行では61100円安い147800円に、7000km走行では38300円安い170600円という結果になりました。

多走行距離での年間維持費|15000km・20000km

続いて年間で10000kmを超える多走行の場合、15000kmと20000kmを例として計算してみます。ガソリン代は走行距離に応じて増額、オイル交換費用はそれぞれ年3回分と年4回分、タイヤ交換費用は走行距離に応じて按分、任意保険料は10000km時と同額としたのがこちらです。

年間15000km走行の場合
名目 金額 比率
自動車税 25000円 9%
自動車重量税 1年分 12300円 4%
自賠責保険料 1年分 8825円 3%
燃料代 15000km分 140630円 51%
オイル交換 年3回 21000円 8%
タイヤ交換 2.7年毎 12000円 4%
任意保険料 100% 54000円 21%
合計
[1万kmとの差額]
273800円
+64900円
-
年間20000km走行の場合
名目 金額 比率
自動車税 25000円 8%
自動車重量税 1年分 12300円 4%
自賠責保険料 1年分 8825円 3%
燃料代 20000km分 187500円 57%
オイル交換 年4回 28000円 8%
タイヤ交換 2年毎 16000円 5%
任意保険料 100% 54000円 15%
合計
[1万kmとの差額]
331700円
+122800円
-

自動車関連費用は家計に多大なるダメージを与えてきますから、不要不急の外出を控えたり、今流行の走行距離に応じて保険料が変わる任意保険を選んだり、1円でも安いガソリンスタンドを探したり、グレードの低いオイルやタイヤでお茶を濁したり…と、あの手この手で工夫して耐え忍びましょう。

「しかし物には限度がある、数年単位の維持費を考えると気が滅入る、だが車は必要だ、背に腹は代えられぬ…」というときは、排気量が小さくて燃費が良くて、車両重量の軽い車に乗りかえるという選択をしますと、各種税金や保険料、車検費用などなどトータルの維持費が格段に抑えられお財布もニッコニコです。


【WLTC特典】市街地・郊外・高速道路の走行比率を変えるとどうなるの?

ひとくちにWLTCモード燃費と言いましても、信号や渋滞があるノロノロ道路の走行を想定した市街地モード(14.4km/L)、信号や渋滞が少ないスイスイ道路の走行を想定した郊外モード(19.7km/L)、高速道路の走行を想定した高速道路モード(22.0km/L)という3つの走行パターンを内包してありまして、これらを「平均的な使用時間配分」なるもので構成したのがWLTCモード燃費(19.2km/L)ということになります。

ここでは年間走行距離を10000kmとして市街地、郊外、高速道路の走行比率を変えてみたとき、WLTCモード燃費でのガソリン代93750円からどのように変化するかを見ていきたいと思います。

  • 1リットル180円として計算。
  • []内は低燃費タイヤ装着(エコタイヤ)で燃費が3%向上すると仮定した場合のガソリン代。
    「差額で元が取れるかな?どうかな?」という、なかなかに絶妙なラインです。
参考:燃費が3%向上すると…?
市街地14.4km/L → 14.8km/L
郊外19.7km/L → 20.3km/L
高速道路22.0km/L → 22.7km/L

●例1:都市部にお住まい

まず最初に、市街地の住まいを想定して、走行の大半を市街地(90%)、たまに郊外へお買い物(5%)、稀に高速道路に乗ってどこか遠くへ…(5%)という場合で見てみます。

市街地90%・郊外5%・高速5%
市街地9000km112500円
[109460円]
郊外500km4570円
[4430円]
高速道路500km4090円
[3960円]
合計金額
WLTC燃費との差額
平均燃費
121160円
+27410円
14.9km/L
エコタイヤ合計金額
純正タイヤとの差額
平均燃費
117850円
-3310円
15.3km/L
  • 市街地走行のガソリン代
    市街地の走行を9000kmとするとき、市街地モード燃費が14.4km/Lではガソリン625.0Lを消費して、ガソリン代は112500円になります。
  • 郊外走行のガソリン代
    郊外の走行を500kmとするとき、郊外モード燃費が19.7km/Lではガソリン25.4Lを消費して、ガソリン代は4570円になります。
  • 高速道路走行のガソリン代
    高速道路の走行を500kmとするとき、高速道路モード燃費が22.0km/Lではガソリン22.7Lを消費して、ガソリン代は4090円になります。

このパターンでは使用した燃料量が673.1L、かかったガソリン代が121160円となり、平均燃費は14.9km/L(-4.3km/L)、WLTCモード燃費とのガソリン代の差は+27410円という結果になりました。

低燃費タイヤ装着で燃費が3%アップするとして、同じ条件で走行するとガソリン代は117850円となり、3310円安くなります。車検2回ごとにタイヤ交換するとき、寿命までの5年間で16550円の経費削減になる計算です。純正タイヤとエコタイヤの差額がこれ以上ならお得、以下なら…?

●例2:市街地と郊外を行き来

次に、とにかく市街地と郊外を行ったり来たりする条件を想定して、市街地の走行を50%、郊外の走行を50%、高速道路は走行しない場合を見てみます。

市街地50%・郊外50%・高速0%
市街地5000km62500円
[60800円]
郊外5000km45680円
[44330円]
高速道路0km0円
[0円]
合計金額
WLTC燃費との差額
平均燃費
108180円
+14430円
16.6km/L
エコタイヤ合計金額
純正タイヤとの差額
平均燃費
105130円
-3050円
17.1km/L
  • 市街地走行のガソリン代
    市街地の走行を5000kmとするとき、市街地モード燃費が14.4km/Lでは347.2Lを消費して、ガソリン代は62500円になります。
  • 郊外走行のガソリン代
    郊外の走行を5000kmとするとき、郊外モード燃費が19.7km/Lでは253.8Lを消費して、ガソリン代は45680円になります。

このパターンでは使用した燃料量が601.0L、かかったガソリン代が108180円となり、平均燃費は16.6km/L(-2.6km/L)、WLTCモード燃費とのガソリン代の差は+14430円という結果になりました。

低燃費タイヤ装着ではガソリン代が105130円となり、1年間で3050円、5年間で15250円の経費削減になる計算です。

●例3:市街地・郊外・高速道路をMix

続いて、都市部に住んでいて郊外の職場へ通勤、あるいは郊外に住んでいて都市部の職場へ通勤、高速利用もバッチリ!という感じでシミュレーションしてみます。

市街地33.3%・郊外33.4%・高速33.3%
市街地3330km41620円
[40500円]
郊外3340km30510円
[29610円]
高速道路3330km27250円
[26410円]
合計金額
WLTC燃費との差額
平均燃費
99380円
+5630円
18.1km/L
エコタイヤ合計金額
純正タイヤとの差額
平均燃費
96520円
-2860円
18.6km/L
  • 市街地走行のガソリン代
    市街地の走行を3330kmとするとき、市街地モード燃費が14.4km/Lでは231.2Lを消費して、ガソリン代は41620円になります。
  • 郊外走行のガソリン代
    郊外の走行を3340kmとするとき、郊外モード燃費が19.7km/Lでは169.5Lを消費して、ガソリン代は30510円になります。
  • 高速道路走行のガソリン代
    高速道路の走行を3330kmとするとき、高速道路モード燃費が22.0km/Lでは151.4Lを消費して、ガソリン代は27250円になります。

このパターンでは使用した燃料量が552.1L、かかったガソリン代が99380円となり、平均燃費は18.1km/L(-1.1km/L)、WLTCモード燃費とのガソリン代の差は+5630円という結果になりました。

低燃費タイヤ装着ではガソリン代が96520円となり、1年間で2860円、5年間で14300円の経費削減になる計算です。

●例4:農村部にお住まい

最後に、びっくりするほど田舎な住まいを想定して、市街地の走行を5%、郊外の走行を90%、高速道路の走行を5%とした場合を見てみます。

市街地5%・郊外90%・高速5%
市街地500km6250円
[6080円]
郊外9000km82240円
[79790円]
高速道路500km4090円
[3960円]
合計金額
WLTC燃費との差額
平均燃費
92580円
-1170円
19.4km/L
エコタイヤ合計金額
純正タイヤとの差額
平均燃費
89830円
-2750円
20.0km/L
  • 市街地走行のガソリン代
    市街地の走行を500kmとするとき、市街地モード燃費が14.4km/Lでは34.7Lを消費して、ガソリン代は6250円になります。
  • 郊外走行のガソリン代
    郊外の走行を9000kmとするとき、郊外モード燃費が19.7km/Lでは456.9Lを消費して、ガソリン代は82240円になります。
  • 高速道路走行のガソリン代
    高速道路の走行を500kmとするとき、高速道路モード燃費が22.0km/Lでは22.7Lを消費して、ガソリン代は4090円になります。

このパターンでは使用した燃料量が514.3L、かかったガソリン代が92580円となり、平均燃費は19.4km/L(+0.2km/L)、WLTCモード燃費とのガソリン代の差は-1170円という結果になりました。

低燃費タイヤ装着ではガソリン代が89830円となり、1年間で2750円、5年間で13750円の経費削減になる計算です。

以上、極端な条件でのシミュレーションではありますが、走行シチュエーションによって平均燃費は変わり(14.9km/L・16.6km/L・18.1km/L・19.4km/L)、ガソリン代のほうもなかなかな違い(121160円・108180円・99380円・92580円)が出てくることがわかります。


市街地・郊外・高速道路の満タン航続距離

各モード燃費と航続距離
WLTCモード燃費
19.2km/L
672.0km
市街地燃費
14.4km/L
504.0km
[-168.0km]
郊外燃費
19.7km/L
689.5km
[+17.5km]
高速道路燃費
22.0km/L
770.0km
[+98.0km]

WLTCモード燃費には市街地モード・郊外モード・高速道路モードという3つの走行パターンが内包されておりますので、参考までにそれぞれのモード燃費で燃料タンクが空になるまで走行した場合の満タン航続距離を計算してみます。

燃料タンクの容量を35Lとしたとき、市街地モード燃費14.4km/Lでの航続距離は504.0km(-168.0km)、郊外モード燃費19.7km/Lでの航続距離は689.5km(+17.5km)、高速道路モード燃費22.0km/Lでの航続距離は770.0km(+98.0km)となります。

ある特定のシチュエーションのみを、燃料タンクが空になるまで走行することはなかなかありませんが、「その気になればこのくらいの距離を走れちゃうんだぜ!」という参考データだけは持っておくと、次回の給油回数削減チャレンジでギリギリのラインを狙っていくのに役立つ、かもしれません。


500Cの燃料タンクと燃費と航続距離と

燃料タンクと燃費と航続距離と
WLTCモード燃費 19.2km/L
燃料タンク容量 35L
航続距離(カタログ燃費) 672.0km
航続距離(80%燃費) 539.0km
満タンプライス 6300円
1km走行コスト 9.38円
1万円でどこまで行ける? 1066.7km
車両価格/航続距離 4315円/km

WLTCモード燃費が19.2km/L、燃料タンク容量35リットルとすると、カタログ燃費の通りに走行できれば航続可能距離は672.0kmになります。

実際にはそうもいきませんから、オイル交換やタイヤ空気圧の管理といった定期メンテナンスを確実に実施した上での実燃費をカタログ燃費の90%(17.3km/L)とすると605.5km、80%(15.4km/L)だと539.0km、70%(13.4km/L)では469.0kmという航続距離になります。

燃料タンクに1滴の燃料もないスッカラカンの状態から満タンにしたときの金額を計算してみますと、ハイオクガソリンを1リットルあたり180円で35リットルの給油をすると6300円、上で計算した航続距離を踏まえると672.0km(80%燃費時539.0km)を走行するのに6300円かかる計算です。

燃費を19.2km/Lとしたときの1km走行コストは9.38円、10万km走行したときの燃料代は93.8万円です。この金額は燃費と使用燃料(レギュラー・ハイオク・軽油など)の単価により変動します。10年10万kmなら9.4万円/年、7年10万kmなら13.4万円/年、5年10万kmなら18.8万円/年、3年10万kmなら31.3万円/年となります。


ついでに1万円の燃料代でどこまで行けるかも計算してみますと、カタログ通りの燃費で走行できれば1066.7km(往復なら片道533.3km)、カタログ値の80%なら853.3km(片道426.7km)離れたところまで行くことができます。

ちなみに、1回の給油で672.0kmの距離を移動できる31209型 500C [TwinAir Dolcevita]という乗り物を、290.0万円で手に入れたと考えたとき、この車が1km走行するにあたっては「4315円の値打ちがある!」と言える、かもしれません。


カタログデータから見えてくる要素

312A2型エンジン簡易性能曲線図
各回転域での馬力
1900回転時の馬力 39.3PS
5500回転時の馬力 85PS
各回転域でのトルク
1900回転時のトルク 14.8kgm
5500回転時のトルク 11.1kgm
312A2型エンジンの性能

まずおさらいとして、搭載している312A2型875cc、直列2気筒の自然吸気エンジンは5500回転時に最高出力85馬力を、1900回転時に最大トルク14.8kgmを発生します。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力が計算できますので、それぞれの点と点とを線で繋いでパワーカーブとトルクカーブのエンジン性能曲線図もどきを作ってみました。

トルクの山が中央より左にあるか右にあるかを基準にしてエンジン特性を探ってみますと、アイドリングとそれほど変わらないような回転数から最大トルクが発生するこのエンジンは、坂道発進も平気の平左、MT車でもエンスト知らず、扱いやすさにかけては右に出るものがありません。ディーゼル車やダウンサイジングターボに多くあります。

※実際のところは車両重量やギヤ比、排気量に対する気筒数の多少によって印象が異なってくると思います。

ちなみに、エンジンのパワーバンドを「最大トルクが発生する1900rpmから最高出力が発生する5500rpmまで」の3600rpmとしたときの、最高回転数に対するパワーバンドの割合は%となります。※右記(下記?)簡易性能曲線図オレンジ色の帯域

最高出力ランキング リスト
1000cc以下クラス編
輸入車・外車の小型車&普通車編
最大トルク ランキング リスト
1000cc以下クラス編
輸入車・外車の小型車&普通車編

うわっ…私の体重、重すぎ…?

さて、車の速さを知るための指標としてよく使われる パワーウェイトレシオ12.353kg/PS(1050kg/85PS)となっていますが、巷でよく見るであろうこの数値の多くはドライバーが乗った状態でのものではなく、あくまでも車両重量と最高出力のみで計算したものです。

車重と搭乗者とPWR
車体のみ12.353kg/PS
車体+1人13.000kg/PS
車体+4人14.941kg/PS
お腹と車重とPWR
車体+60kg13.059kg/PS
車体+70kg13.176kg/PS
車体+80kg13.294kg/PS
車体+90kg13.412kg/PS
車体+100kg13.529kg/PS

というわけで、車両総重量の求め方に倣い人間の体重55kgを加えて計算し直してみますと、ドライバーのみが搭乗したときのパワーウェイトレシオは13.000kg/PS(1105kg/85PS)となり、数値としては0.647kg、比率にすると5.2%ほど悪化します。

次に乗車定員いっぱいの4人が搭乗した場合、車両重量に220kgがプラスされてパワーウェイトレシオは14.941kg/PS(1270kg/85PS)となり、数値としては2.588kg、比率にすると21.0%も悪化することになります。

もともとが重量級の車であれば、人が少々乗ったところで体重の占める割合が小さいことから変化も小さいですが、軽量級の車ではお腹まわりのお肉が大きな影響力を持つことがわかります。


31209 500Cのライバル候補車たち

愛すべきライバル車種
2021/10

-
500C
13.000kg/PS
1105kg/85PS|0.9L-NA
[車体のみPWR:12.353]
2010/11

車種詳細
NV200バネット ワゴン
12.890kg/PS
1405kg/109PS|1.6L-NA
車体のみPWR:12.385
2013/01

車種詳細
デリカD:5
13.074kg/PS
1935kg/148PS|2.3L-TB
車体のみPWR:12.703
2012/09

車種詳細
up!
13.000kg/PS
975kg/75PS|1.0L-NA
車体のみPWR:12.267
2015/01

車種詳細
ハイエースワゴン
13.094kg/PS
2095kg/160PS|2.7L-NA
車体のみPWR:12.750
2004/06

車種詳細
ミラジーノ
12.891kg/PS
825kg/64PS|0.7L-TB
車体のみPWR:12.031

車両重量にドライバーの体重を加えますと、過去に見てきたパワーウェイトレシオ界隈の様相も変わってくることがわかりましたので、ここでは余興としてドライバー込みのパワーウェイトレシオ13.000kg/PSと近い数値を持つ車種をいくつかピックアップしてみます。

12.870kg/PSから13.130kg/PSの範囲で人気度を優先して選んでみたところ、日産の7人乗りミニバン「M20型 NV200バネット ワゴン」、三菱の7人乗りミニバン「CV1W型 デリカD:5」、フォルクスワーゲンの4人乗りハッチバック「AACHY型 up!」、トヨタの10人乗り1BOX「TRH224W型 ハイエースワゴン」、ダイハツの4人乗り軽ハッチバック「L700S型 ミラジーノ」という顔ぶれが並びました。

「えっ!あの車がライバル!?(大歓喜)」だったり、あるいは「えっ…あの車がライバル…?(大号泣)」だったり悲喜こもごもありましょうが、数値の上では「良き隣人」ということになります。

31209型 500C [TwinAir Dolcevita]とパワーウェイトレシオが近い車種|13.000kg/PS

ちなみに、日本では Power Weight Ratio(1馬力あたりが担う重量)が自動車の加速性能を推測する指標としてよく用いられますが、海外では Power to Weight Ratio(車両重量1トンあたりの出力)という指標が重用され、こちらの数値は81.0PS/tとなっています。


500Cがバイクと競争するなら…?


車種詳細
CB125T|124cc
12.933kg/PS
194kg/15.0PS/1.02kgm
[車体のみPWR:9.267]
1速ギヤ速度:43.4km/h
最小TWR:1.426
2021/10

-
500C|875cc
13.000kg/PS
1105kg/85PS/14.8kgm
[車体のみPWR:12.353]
1速ギヤ速度:38.3km/h
最小TWR:1.309

車種詳細
DF125E|124cc
13.143kg/PS
184kg/14.0PS/1.10kgm
[車体のみPWR:9.214]
1速ギヤ速度:32.1km/h
最小TWR:1.053

幸か不幸か、自動車に魅入られてしまった人はバイクにも並々ならぬ興味があったりします。バイクという乗り物は往々にして、見るからに速そうならきっちりと速いもので、高回転高出力のエンジンと超軽量な車体を武器に、目にも留まらぬ速さで点になります。

などと、酸いも甘いも噛み分けすぎて達観したようなことを言っても人生つまりませんので、ここでは500Cとパワーウェイトレシオが近いバイクを探して、ああでもない、こうでもないを楽しみましょう。

JC06 CB125Tと競争してみる

まず500Cより少しPWRが低いバイクとして、ホンダのCB125Tが挙げられます。PWRの12.933kg/PSは車両重量139kgにライダーの体重55kgを加えた194kgを、最高出力15.0PSで割ったものです。

自動車であれバイクであれ、最も鋭い加速を見せるのは、最も低いギヤ比(変速比)のときですので、各々の1速ギヤ最高速と、1速ギヤかつ最大トルク発生時のトルクウェイトレシオを比べてみますと、1速ギヤ最高速はCB125Tに5.1km/h劣り、1速TWRは0.117kg勝る、という結果になりました。※1速TWRは車体のみの数値(今後の課題)

SF44A DF125Eと競争してみる

続いて少しPWRが高いバイクとしては、スズキのDF125Eが挙げられます。PWRの13.143kg/PSは車両重量129kg+55kgの184kgを、最高出力14.0PSで割ったものです。こちらも同様に比べてみますと、1速ギヤ最高速は6.2km/h勝り、1速TWRは0.256kg劣る、という結果になりました。


その他の諸元いろいろ

いろいろな数値
WB/TR比 1.628
平均ピストンスピード 15.77m/s
トルクウェイトレシオ 70.95kg/kgm
1馬力あたりのお値段 34118円
排気量1Lあたり馬力 97.14PS/L
排気量1Lあたりトルク 16.91kgm/L
1気筒あたりの馬力 42.5PS
1気筒あたりのトルク 7.4kgm
パワーバンド比率
燃費×馬力 1632.0pt
各種ランキング
オープンカーのPWR
1.0L以下のPWR

トルクウェイトレシオは70.95kg/kgm(1050kg/14.8kgm)なのですが、トルクについてはギヤ比でどうにでもなりますので、ここでの大小はあまり重要ではありません。(詳しくはギヤ比編にて)

ついでに馬力単価を計算してみると、お値段が2900000円、最高出力が85馬力であるこの車の場合、1馬力あたりのお値段は34118円、逆に1万円あたりでは0.29馬力を得ることができます。ついでのついででトルク1kgmあたりのお値段は195946円、1万円あたりでは0.05kgmとなります。

1馬力あたりのお値段が安い車ランキング
総合ランキング
輸入車編
1000cc以下の車編
オープンカー編

●最高出力を排気量で割ったリッター換算馬力は97.14PS/L、トルクは16.91kgm/L、1気筒あたりの馬力は42.5馬力、トルクは7.4kgmとなり、このエンジンが85馬力を5500回転で発生させているときの平均ピストンスピードは15.77m/sです。
排気量1リットルあたりの馬力ランキング

ちなみに、ストローク量が86.0mmである312A2型エンジンの場合、平均ピストンスピードの上限を20.0m/sとしたときの高回転化の上限は6980回転です。設定されているレブリミットがこの回転数を超えている場合、長年に亘って平均ピストンスピードの目安とされてきた20.0m/sを超えてピストンが往復運動していることになります。レブリミットがこの回転数以下の場合は高回転化してパワーを引き出すチューニングの目安になるかもしれません。
平均ピストンスピードが速い車ランキング

●この車のホイールベースを前後トレッドの平均で割って算出されるホイールベーストレッド比は1.628になります。全ての車種の平均値である1.753を基準にざっくりと分類すると、どちらかというと小回りを得意とする傾向にある車と言えそうです。
ホイールベーストレッド比が小さい車ランキング

●低燃費かつ高出力な車を調べるための指標として「燃費×最高出力」の数値を用いる場合、燃費が19.2km/L、最高出力が85PSであるこの車の獲得ポイントは1632.0ptになります。
戯れに車両重量1050kgを100kg単位にした10.5で割ってみたところ、その数値は155.43ptとなりました。(燃費が良くてパワーがあって速い車を探すのに使えるかも?)



ギヤ比と回転数と速度と駆動トルクとトルクウェイトレシオのステキな関係

続いてギヤ比を見てみます。あるギヤで走行中にエンジン(正確にはクランクシャフト)をレブリミットまで回したときの速度と、レブリミットでシフトアップした後の回転数を計算するためには、何回転で回転リミッターが働くのかを知らねばなりません。

しかし具体的な数値を知るにはECU(エンジン・コントロール・ユニット)にあるデータを参照しなければならなかったりで実現は厳しく、ならばとレッドゾーンが始まる回転数から推測しようにも、最近ではタコメータが装着されていない車両が多くあって心が折れます。

ピークパワーが発生する回転数(この車の場合5500rpm)から必要以上に回してもあまり意味はないのでそれを上限としても良いのですが、気分よく運転しているときは往々にして回しすぎるのが常ですから、ここでは500回転をプラスした6000回転を仮のレブリミットとして計算してみます。

暫定レブ 6000rpm|タイヤサイズ 185/55R15|タイヤ直径 58.5cm|円周長 183.8cm
ギヤ ギヤ比 総減速比 ステップ比 シフトアップ
後の回転数
6000rpm
の速度
100kmh
の回転数
タイヤの
最大駆動力
1速 4.100 15.85 -
-
42km/h 14380rpm 802.2kgm
2速 2.174 8.41 0.530 1-2/
3180rpm
79km/h 7620rpm 425.4kgm
3速 1.345 5.20 0.619 2-3/
3710rpm
127km/h 4720rpm 263.2kgm
4速 0.974 3.77 0.724 3-4/
4340rpm
176km/h 3420rpm 190.6kgm
5速 0.766 2.96 0.786 4-5/
4720rpm
223km/h 2690rpm 149.9kgm
Final 3.867 レシオカバレッジ(変速比幅)5.352

  • ステップ比(歯車比)とは隣接したギヤ同士の離れ具合を示した数値で、1.000に近いほどシフト操作後の回転数の変化が小さく(ギヤ同士の繋がりが良い)、離れるほど変化が大きく(繋がりが悪い)なることを表します。
  • シフトアップでは現在の回転数にステップ比を乗じた回転数まで下がり、シフトダウンでは現在の回転数にステップ比を除した回転数まで上がります。
  • 赤い数字はシフトアップ後にパワーバンドの下限(最大トルク発生回転数1900rpm)を下回るもの。
  • 時速100kmでの回転数は100km/h÷60÷タイヤ円周長×各ギヤ比×ファイナルギヤ比(3.867)で算出。
  • タイヤの最大駆動力は最大トルク(14.8kgm)×各ギヤ比×ファイナルギヤ比(3.867)÷タイヤの有効半径(0.2925m)で算出。
    ただし、ATおよびCVTにあるトルクコンバーターでのトルク増幅効果は考慮できていません。

本来のレブリミットとは異なるので最高速の数値は前後しますが、上記の設定での最高速度は5速ギヤの223km(5500rpmでは204.8km/h)となります。この速度は空気抵抗、パワー不足、スピードリミッターなどネガティブ要素の一切を無視して、単にギヤ比とエンジン回転数、タイヤサイズだけで計算した速度です。

おまけ:5500rpmでシフトアップする場合の各ギヤ速度

5500rpmでの速度と
シフトアップ後の回転数
ギヤ速度回転数
1速ギヤ38km/h-
2速ギヤ72km/h2920rpm
3速ギヤ117km/h3400rpm
4速ギヤ161km/h3980rpm
5速ギヤ205km/h4320rpm

31209型500Cに搭載された312A2型875ccエンジンのレブリミットを、最高出力が発生する5500rpmとしてシフトアップするときの速度をシミュレートしてみます。

まず1速ギヤで5500rpmまで引っ張ると38km/hまで加速し、2速ギヤにシフトアップすると回転数は5500rpmから2920rpmまで落ち、そこから5500rpmまで加速を続けると速度は72km/h(+34km/h)になります。

3速ギヤでは3400rpmまで落ちて5500rpmで117km/h(+45km/h)に、4速ギヤでは3980rpmまで落ちて5500rpmで161km/h(+44km/h)に、5速ギヤでは4320rpmまで落ちて5500rpmで205km/h(+44km/h)という具合に加速していくイメージです。

タイヤの最大駆動力にある数値は、エンジンが1900回転で最大トルク14.8kgmを発生しているとき、各々のギヤを介したのち実際にタイヤへと伝えられるトルクで、この数値が大きいほどタイヤを回そうとする力が大きく、より力強い加速をすることができます。

この数値を大きくするにはギヤ比を低く(加速重視・ローギヤード)する、タイヤを小径化する、エンジンの最大トルクを大きくするという方法があります。逆にギヤ比を高く(最高速重視・ハイギヤード)したり、タイヤを大径化したり、デチューンして非力にすると駆動トルクは小さくなって加速が鈍ります。


さて、世の中にはパワーウェイトレシオ(1馬力が担う重量・PWR)に似ているようで少し違うトルクウェイトレシオ(1kgmが担う重量・TWR)という指標があります。単純に車両重量を最大トルクで割れば70.95kg/kgmですから、パワーウェイトレシオ(12.353kg/ps)に比べると霞んで見えます。

しかしトルクはギヤを介することで増幅され、たとえば1速ギヤの場合ですと802.2kgmになります。これを踏まえて改めて車両重量(1050kg)を1速ギヤの最大駆動力(802.2kgm)で割ってみると1.309kg/kgmとなり、今度は逆にPWRが霞んで見えるような数値が出てきます。最高出力が発生する5500回転でのトルク(11.1kgm)からTWRを算出すると1.75kg/kgmとなり、1900-5500回転の回転域では1.309-1.75kg/kgmの間で推移することがわかります。


ある速度における各ギヤでの回転数

ギヤ 40
km/h
60
km/h
80
km/h
100
km/h
120
km/h
140
km/h
180
km/h
1速 5750 8630 11500 14380 17250 20130 25880
2速 3050 4570 6100 7620 9150 10670 13720
3速 1890 2830 3770 4720 5660 6600 8490
4速 1370 2050 2730 3420 4100 4780 6150
5速 1070 1610 2150 2690 3220 3760 4830
※赤い数字は暫定レブリミット(6000rpm)を上回るもの。

この項目では各々のギヤと速度を基準として、任意のギヤを選択中に時速40km~180kmにて走行するとき、エンジンの回転数がどのくらいになるのかを一覧表にしてみました。この車の場合、最も高いギヤ(0.766)を選択して時速100kmにて走行すると2690回転まで回ります。

ちなみに、一般道の速い流れやバイパスでよくある60km/hでは1610回転、対面通行の高速道路での制限速度70km/hでは1880回転、一般的な高速道路の80km/hでは2150回転、100km/hでは2690回転、制限速度が120km/hになると3220回転になります。小型・普通乗用車の速度リミッターが働く180km/hでは4830回転まで回ります。

一般的な自動車であれば時速100kmでの巡航回転数は2500回転付近に落ち着くようですが、その中でも若干高めの回転数となっています。標準的なギヤ比の範囲内ながらも静粛性や燃費よりも加速に重きを置いた設定なので、高速道路やバイパスを走行するとき、ふと「もう1段上のギヤがあったらなあ‥」と呟くことがあるかもしれません。


ある回転数における各ギヤでの速度

ギヤ 1000
rpm
2000
rpm
3000
rpm
4000
rpm
5000
rpm
6000
rpm
7000
rpm
8000
rpm
1速 7 14 21 28 35 42 49 56
2速 13 26 39 52 66 79 92 105
3速 21 42 64 85 106 127 148 170
4速 29 59 88 117 146 176 205 234
5速 37 74 112 149 186 223 261 298

この項目では各々のギヤとエンジンの回転数を基準として、任意のギヤを選択中にエンジンを1000回転刻みで8000回転まで回したとき、それぞれのギヤでどのくらいの速度が出ているのかを一覧表にしてみました。暫定レブリミット(6000回転)よりも回転数が高くなる欄の速度については赤文字で表記してあります。


純正装着タイヤの185/55R15と互換可能な車検対応サイズ|簡易版

下の表では純正サイズを基準としてタイヤ幅を-20mmから+20mm、扁平率を-5%から+5%まで変化させたときのスピードメータ誤差が、マイナス方向を水色、-5.0%から+2.0%までを緑色、+6.0%までを橙色に着色しています。

※ここではタイヤの直径(外径)のみを基準としています。タイヤの幅を広くしすぎてサスペンションと干渉したり、はみ出てしまって車検に通らないからとフェンダーを叩いたり引っ張ったりキャンバーを付けたりで四苦八苦、ホイール幅が狭すぎてなんかイマイチ…という事例もありますので、ホイールのオフセットとリム幅にはご注意ください。

純正タイヤ 185/55R15 | 直径 585mm

-20mm
幅165mm
-10mm
幅175mm
変更なし
幅185mm
+10mm
幅195mm
+20mm
幅205mm
-5%
50
扁平
165/50R15
37.3km/h
直径546mm
径差-39mm
175/50R15
38.0km/h
直径556mm
径差-29mm
185/50R15
38.7km/h
直径566mm
径差-19mm
195/50R15
39.4km/h
直径576mm
径差-9mm
205/50R15
40.1km/h
直径586mm
径差+1mm
0%
55
扁平
165/55R15
38.5km/h
直径563mm
径差-22mm
175/55R15
39.2km/h
直径574mm
径差-11mm
185/55R15
40.0km/h
585mm
0mm
195/55R15
40.8km/h
直径596mm
径差+11mm
205/55R15
41.5km/h
直径607mm
径差+22mm
+5%
60
扁平
165/60R15
39.6km/h
直径579mm
径差-6mm
175/60R15
40.4km/h
直径591mm
径差+6mm
185/60R15
41.2km/h
直径603mm
径差+18mm
195/60R15
42.1km/h
直径615mm
径差+30mm
205/60R15
42.9km/h
直径627mm
径差+42mm
+10%
65
扁平
165/65R15
40.8km/h
直径596mm
径差+11mm
175/65R15
41.6km/h
直径609mm
径差+24mm
185/65R15
42.5km/h
直径622mm
径差+37mm
195/65R15
43.4km/h
直径635mm
径差+50mm
205/65R15
44.3km/h
直径648mm
径差+63mm

もし上記表の中から車検に安心なタイヤを選ぶのであれば、メーター誤差が-5.0%から0%の間にあって車高への影響も少ない 、165/55R15、165/60R15 、175/50R15、175/55R15 、185/50R15 、195/50R15 あたりのタイヤがおすすめです。

185/55R15のタイヤ幅を165mmから215mmまで、扁平率を40%から70%までの範囲に拡大した適合タイヤの一覧表および、100km/h回転数、加速力と最高速の変化、走行距離計の誤差による実燃費とのズレについては、185/55R15の適応サイズと性能の変化 [31209型500C編]のページをご覧ください。

純正のホイールサイズから大径化したり、幅の広いタイヤ、扁平率の低いタイヤに交換しようとするとタイヤ代が高くなる傾向にありますので、少しでも維持費を抑えたい、今はお財布の中身が心許ないといった際にはタイヤ通販をご利用ください。
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31209型500C[0.9L-NA FF/5AT]の通知表

ここではこのページを締めくくる集大成として、パワーウェイトレシオや1速ギヤでの加速性能、排気量1Lあたりの出力、ホイールベーストレッド比からなるスポーツ性能部門と、時速100kmでの巡航回転数、燃費、車体の大きさ、室内の広さからなるユーティリティ部門とに大別し、このサイトで登録している全車種の平均値から偏差値を求めて優劣を調べてみたいと思います。

スポーツ性能部門
評価項目数値得点
パワーウェイト12.353kg/ps42.91
1速ギヤ加速性能1.309kg/kgm55.71
1L換算馬力97.14ps/L69.06
1L換算トルク16.91kgm/L140.73
WB/TR比1.62864.95
ワイド&ロー指数0.93247.13
前面の面積2.462m²54.61
最低地上高-43.72
スポーツ性能部門の得点518.82

※ここではパワーウェイトレシオ・1速ギヤ加速性能・ホイールベーストレッド比・ワイド&ロー指数・前面の面積については数値が小さいほど高得点。リッター換算馬力・換算トルクについては数値が大きいほど高得点としています。


ユーティリティ部門
評価項目数値得点
WLTC燃費19.2km/L55.95
年間維持費208900円60.81
100kmh回転数2690rpm47.34
航続距離672.0km47.58
車の大きさ8.789m³39.44
室内の広さ(仮) 1.594m³32.66
最小回転半径4.7m60.00
馬力単価34118円33.30
ユーティリティ部門の得点377.08

※ここでは燃費・航続距離・車の大きさ・室内の広さは数値が大きいほど高得点、年間維持費・100km/h回転数・最小回転半径・馬力単価は数値が小さいほど高得点としています。

スポーツ性能部門およびユーティリティ部門の得点を合計した 31209型500C[0.9L-NA FF/5AT] の総合得点は 895.90 点です。獲得点数が多い車種から順番に並べた 総合得点ランキング を用意してありますので、よろしければご覧ください。

上記リンク先では、今回このページで紹介した31209型500C(FF/5AT) の各種スペックを、「全ての車種」、「全てのオープンカー」、「1000ccのオープンカー」という属性で評価したとき、それぞれの項目が相対的にどのくらい優れているか、劣っているかを調べてみました。基準が変わると手のひらを返したように評価も変わる様子をご堪能ください。

500Cの歴代モデル

3代目 31209型 500
31209 500は2008/03に登場した3代目モデル。参考車両の「Twin-Air POP」は全長3545mm、全幅1625mm、全高1515mmの車体に、85PS/14.8kgmを発生する312A2型875ccエンジンを搭載した4人乗りハッチバック。

初代 33414型 500X
33414 500Xは2015/10に登場した初代モデル。参考車両の「Cross Plus」は全長4270mm、全幅1795mm、全高1625mmの車体に、170PS/25.5kgmを発生する55263623型1368ccエンジンを搭載した5人乗りSUV。