J60MC:Fタイプ クーペの性能と維持費 4WD/8AT 1590万円 2020年式

このページでは、ジャガーの2ドア・2人乗りクーペ、初代の3BA-J60MC型Fタイプ クーペ R-Coupe P575 AWD【2020/01モデル・575PS/71.4kgm・4WD/AT車】のカタログスペックを基に、税金と年間維持費、車検費用の目安の算出、主要諸元から推測される走行性能のインプレ評価およびレビュー、並びにタイヤサイズ変更のシミュレーションをしています。

J60MC Fタイプ クーペ
販売期間:2013/05 -

画像はジャガーより引用
http://www.jaguar.co.jp/
投稿:2022/02/18|更新:2023/11/01

ボディサイズが全長4470mm×全幅1925mm×全高1315mm、排気量は4999ccであることから、大雑把に分類すると5.0リットルクラス(5000cc、自動車税は6.0L以下を適用)に属し、全長、全高は5ナンバー枠ながら全幅が1.7mを超え、排気量も2000ccを超えていることにより3ナンバー登録になります。比較的コンパクトなボディに大きめなエンジンの組み合わせは世界戦略車(グローバルカー)やちょっとした高級車に良くあるパターンです。

駆動方式には車両に備わる全てのタイヤを駆動する、いわゆる四輪駆動(All Wheel Drive・AWD・Four Wheel Drive・4WDとも)を採用しています。真っ直ぐ進むことに掛けては右に出る者なしとされ、大雨、強風、泥濘、降雪、凍結など天変地異による悪天候下や悪路にて無類の強さを発揮する安心の駆動方式です。

ちなみに、車体形状や用途に関係なく全長のみを基準とした分類方法で各セグメントに当てはめると、全長が4470mmであるこの車の場合は「ミディアム」(Medium:4300mm超-4650mm以下・Dセグメント相当)に属します。※国や時代によって基準は異なります。


J60MC型 Fタイプ クーペ [4999cc/575PS 4WD/8AT] お品書き


維持費にまつわるエトセトラ

エンジンの最高出力・最大トルク

ギヤ比と加速・回転数と最高速

タイヤサイズ変更とメーター誤差

各種スペックの相対評価と通知表
お金にまつわるエトセトラ
1年間のランニングコスト
エンジン性能と特性
パワーウェイトレシオ
ギヤ比と加速力&
エンジン回転数と最高速
タイヤサイズ変更と
スピードメーター誤差
各種スペックの相対評価と
レーダーチャート

初代Fタイプ クーペの類型&他グレード 新着順

  • 吸気方式のNAは自然吸気、TBはターボ、SCはスーパーチャージャー、TSはTB+SCの略
  • 燃費の文字が赤色のものはレギュラーガソリン、青色のものはハイオクガソリン、緑色のものは軽油を燃料とするエンジンを搭載した車種

年式
画像
車両型式
グレード
出力
燃費
2020/01
J60XC型
[Coupe P300]
2.0L-TB | FR/8AT
| 865.0万円
300PS
40.8kgm
10.7km/L
2020/01
J60XC型
[R-Dynamic Convertible P300]
2.0L-TB | FR/8AT
| 1101.0万円
300PS
40.8kgm
10.7km/L
2020/01
J608C型
[R-Dynamic Coupe P380 AWD]
3.0L-SC | 4WD/8AT
| 1322.0万円
381PS
46.9kgm
9.7km/L
初代Fタイプ クーペの車両型式・グレード一覧【全18車種】

主要諸元とエンジン諸元

主要諸元
メーカー JAGUAR
車名&
グレード
Fタイプ クーペ
R-Coupe P575 AWD
その他 Rクーペ
お値段 15900000円
車両型式 3BA-J60MC
駆動方式
変速機
4WD・四輪駆動(AWD)
8速AT・8速オートマ車
ドア/定員 2ドア/2名乗車
車体寸法 長4470×幅1925×高1315mm
軸距&
輪距
2620mm
前1585mm/後1610mm
最小半径 5.5m
タイヤ 前輪:255/35R20
後輪:295/30R20
ブレーキ 前:ベンチレーテッドディスク
後:ベンチレーテッドディスク
車両重量 1840kg
エンジン諸元
原動機型式 508PS
気筒配列 V型8気筒
排気量4999cc
吸気方式 スーパーチャージャー
最高出力 575PS[423kW]/6500rpm
最大トルク 71.4kgm[700Nm]/3500rpm
使用燃料 ハイオクガソリン
WLTC燃費 8.4km/L(19.8mpg)
100km燃費 11.9L/100km
508PS型エンジンの諸元と性能まとめ
V型8気筒とは‥シリンダをV字型に交互で8個配置する方式。中?大排気量のスタンダード。
V型8気筒の最高出力ランキング

税金と年間維持費のシミュレーション

ここでは、春になると毎年欠かさず支払いを催促される自動車税87000円、払わなければ車検を受けさせてもらえない自動車重量税16400円/年と自賠責保険料8825円/年、年間1万km走行した際に掛かるガソリン代月額8500円の任意保険に加入し、走行5000km毎にエンジンオイル交換、5年5万km毎にタイヤ交換するとしたときの年間維持費(ランニングコスト)を見てみます。

さらに、Fタイプ クーペの新車を1828.5万円(諸費用として238.5万円を加算)にて購入し、頭金なしで5年ローンを組んだと仮定したときの年間支払額(金利分は含まず)も踏まえて、上記の維持費と合算した場合の想定維持費も計算してみました。

  • ローンの年数については月額5万円の支払いを基準として、ローンの支払額が60万円以下は1年、120万円以下は2年、180万円以下は3年、240万円以上は4年、それ以上は5年としています。
  • 任意保険の金額については特に根拠のない一例です。具体的な掛け金は運転者の年齢や家族構成、年間走行距離、保険内容、車両保険の有無等によって大きく異なります。
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新車で買った場合の年間維持費

名目 区分 金額
自動車税(1年分) 6000cc以下 13年未満 87000円
自動車重量税(1年分) 2.0トン以下 13年未満 16400円
自賠責保険料(1年分) 自家用乗用車 8825円
年間10000km走行燃料代
年間7000km走行の場合
年間5000km走行の場合
年間3000km走行の場合
10000km÷8.4km/L×180円/L
7000km÷8.4km/L×180円/L
5000km÷8.4km/L×180円/L
3000km÷8.4km/L×180円/L
214290円
(150000円)
(107150円)
(64290円)
オイル交換(5000km毎) 1回9500円×2回 19000円
タイヤ交換(5年5万km毎) 1本24000円×4本÷5年 19200円
任意保険料(月額8500円) 月額8500円×12ヶ月 102000円
ローン完済後の年間維持費 466800円
名目 区分 金額
車のローン額(1年分) 月額304750円×12ヶ月 3657000円
ローン返済中の年間維持費 4123800円
次回車検費用の積み立て目安
重量税2年分+自賠責24ヶ月分+検査手数料等3000円程度 53500円
名目 金額
自動車税(1年分) 87000円
自動車重量税(1年分) 16400円
自賠責保険料(1年分) 8825円
年間10000km走行燃料代
年間7000km走行の場合
年間5000km走行の場合
年間3000km走行の場合
214290円
(150000円)
(107150円)
(64290円)
オイル交換(5000km毎) 19000円
タイヤ交換(4年4万km毎) 19200円
任意保険料(月額8500円) 102000円
ローン完済後の年間維持費 466800円
名目 金額
車のローン額(1年分) 3657000円
ローン返済中の年間維持費 4123800円
次回車検費用の積み立て目安
重量税2年分+自賠責24ヶ月分
+検査手数料等3000円程度
53500円
  • 初度登録から4年経過車の場合、「6000cc以下で13年未満」クラスの自動車税は87000円、「2.0トン以下で13年未満」クラスの自動車重量税は16400円(単年)です。
  • エンジンオイル交換の金額は、5000km走行ごとに9500円のオイル交換作業を年2回行うと仮定した場合のもの。
  • タイヤ交換の金額は、1本24000円のタイヤ4本を4年周期で交換すると仮定した場合のもの。
  • 任意保険料の金額は、月額8500円の保険に加入した場合の12ヶ月分の支払い額。
  • 2015年4月1日からの自動車税の割増(10%増税→15%増税)に対応。
  • 2016年4月1日からの自動車重量税の変更に対応。
  • 2019年10月1日以降に新車登録された自家用乗用車の自動車税額変更に対応。
    ただし今流行のエコカー減税(自動車税、自動車重量税等の減免)には対応できていません。
  • 2021年4月1日からの自賠責保険料の改定に対応。
  • 燃料消費率が緑文字のWLTCモード燃費はカタログ値の100%を、青文字のJC08モード燃費は93%を、赤文字の10・15モード燃費は85%を実燃費と仮定して計算。
  • 名目にある金額の基準は、年間維持費の算出基準まとめ をご覧ください。
  • 車検費用の目安とした53500円は、車検にまつわる全ての作業を自分自身で行うユーザー車検を想定したもので、車検代行を利用するなら車検代行手数料(15000円前後)が別途で必要です。
    安心安全の自動車整備工場にお任せするなら部品代と工賃(整備内容により変動)、24ヶ月点検整備(20000円前後)が追加され、車検費用は相応に高くなります。

年間の維持費が30万円前後では曖昧だった貧民と平民の線引きがこの辺りから明確になってきます。月換算で3万円~4万円、年間では36万円~48万円クラスとなると、それなりの収入が継続的に見込めないと手を出せないクラスです。

Fタイプ クーペ【R-Coupe P575 AWD】の場合、維持費の月額は38900円(ローン完済前は343700円)になります。金銭的にシビアな人からは「車なんてどれもタイヤが4つあるだけなのに、なんでこんなにお金の掛かる車に乗ってるんだ…修行か…」と奇異の目で見られていることでしょう。でも良いんです。愛さえあれば。


燃料価格が高騰したり下落したりの燃料代シミュレーション

現代の社会というものは地から湧き出る油により支配されており、油そのものの価格の高騰と下落、為替の値動き(円安と円高)など、その時々の世界情勢に応じて価格が変動するたびに右往左往させられます。

ここ最近は原油高+円安という、爪に火を点しながら生活している庶民にとっては最も好ましくないシチュエーションの真っ只中にあり、「なんとかなれーッ!なんとかなれーッ!」と祈りながら日々を過ごしている人も少なくないことでしょう。

というわけで、原油安+円高の時勢を夢見て将来の皮算用をする、あるいは原油高+円安に備えて無欲を極めるなどするために、ハイオクガソリン1リットルあたり180円を基準として、-50円となる130円から、+50円となる230円の間で変化した場合の10000km走行燃料代を、燃費8.4km/Lとしてシミュレーションしてみました。

燃料価格/L10000km燃料代
[差額]
-50円
130円/L
154770円
[-59520円]
-25円
155円/L
184530円
[-29760円]
-10円
170円/L
202390円
[-11900円]
180円/L214290円
[0円]
+10円
190円/L
226200円
[+11910円]
+25円
205円/L
244060円
[+29770円]
+50円
230円/L
273820円
[+59530円]

燃費8.4km/LのJ60MC型 Fタイプ クーペで10000km走行するのに必要な燃料は1190.5L、1リットルあたり180円としたときの燃料代は214290円になります。

参考までに、Fタイプ クーペの燃料タンクは70リットルですので、1190.5Lの給油回数は18回、1回あたりの燃料代は約11910円です。

ここから10円安く、あるいは高くなった場合、燃料代としては11910円の上下となり、(差額だけで見れば)まだどうにかなる範囲です。が、もしこれが25円になると29770円、50円も違ってくると59530円にもなります。

これをJ60MC型 Fタイプ クーペの年間維持費に当てはめてみますと、ハイオクガソリン1リットルあたり180円の場合を466800円としたとき、130円/Lに値下がりすれば407280円(87.2%)に、230円/Lに値上がりすれば526330円(112.8%)になる計算です。

安くなるものについては自動車税(87000円)なり重量税(16400円)なりの税金、各種消耗品の交換整備に充当することもできますが、問題は高くなった場合です。

ただでさえ燃料代が嵩んでいるのに(ガソリンの半分は税金でできています)、原油が高くなればエンジン、ミッション等の油脂類、タイヤ代も当然値上げ、さらに上乗せできっちり徴税されるのですから、まったくもって自動車の維持費は青天井です。

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低走行距離での年間維持費|3000km・5000km・7000km

せっかくのマイカーを前にして、あまりにも涙ぐましい経費削減は気の引けるものですが、しかし先行き不安なこのご時世では背に腹はかえられないのもまた事実です。

走行距離が少なくなればガソリン代は目に見えて削減されますし、タイヤは摩耗が減って長持ち、オイル交換も年1回になってお財布もニッコリ…いうわけで、ここでは年間走行距離を3000km・5000km・7000kmとしたときの年間維持費をシミュレートしてみます。

年間3000km走行の場合
名目 金額 比率
自動車税 87000円 31%
自動車重量税 1年分 16400円 6%
自賠責保険料 1年分 8825円 3%
燃料代 3000km分 64290円 23%
オイル交換 年1回 9500円 3%
タイヤ交換 6年毎 12800円 5%
任意保険料 80% 81600円 29%
合計
[1万kmとの差額]
280500円
-186300円
-
年間5000km走行の場合
名目 金額 比率
自動車税 87000円 26%
自動車重量税 1年分 16400円 5%
自賠責保険料 1年分 8825円 3%
燃料代 5000km分 107150円 33%
オイル交換 年1回 9500円 3%
タイヤ交換 6年毎 12800円 4%
任意保険料 85% 86760円 26%
合計
[1万kmとの差額]
328500円
-138300円
-
年間7000km走行の場合
名目 金額 比率
自動車税 87000円 23%
自動車重量税 1年分 16400円 4%
自賠責保険料 1年分 8825円 2%
燃料代 7000km分 150000円 39%
オイル交換 年1回 13300円 3%
タイヤ交換 6年毎 12800円 3%
任意保険料 90% 91800円 26%
合計
[1万kmとの差額]
380200円
-86600円
-

自動車税、重量税、自賠責保険については、走行距離がどうであろうと変わりませんが、ガソリン代は走行距離に応じた分だけ削減、オイル交換は年間3000km走行と5000km走行は年1回、7000km走行は1回分+αの金額としています。

タイヤ交換費用については、スリップサインまで40000km持つものとして走行距離に応じて按分(ただし最大6年で交換とする)、任意保険料については、年間3000km走行は10000km走行での保険料102000円の80%、年間5000km走行は85%、年間7000km走行は90%の金額に割引されるものとして計算しました。

年間3000km走行では、10000km走行に比べて186300円安い280500円に、5000km走行では138300円安い328500円に、7000km走行では86600円安い380200円という結果になりました。

多走行距離での年間維持費|15000km・20000km

続いて年間で10000kmを超える多走行の場合、15000kmと20000kmを例として計算してみます。ガソリン代は走行距離に応じて増額、オイル交換費用はそれぞれ年3回分と年4回分、タイヤ交換費用は走行距離に応じて按分、任意保険料は10000km時と同額としたのがこちらです。

年間15000km走行の場合
名目 金額 比率
自動車税 87000円 14%
自動車重量税 1年分 16400円 3%
自賠責保険料 1年分 8825円 1%
燃料代 15000km分 321440円 52%
オイル交換 年3回 57000円 9%
タイヤ交換 2.7年毎 28800円 5%
任意保険料 100% 102000円 16%
合計
[1万kmとの差額]
621500円
+154700円
-
年間20000km走行の場合
名目 金額 比率
自動車税 87000円 11%
自動車重量税 1年分 16400円 2%
自賠責保険料 1年分 8825円 1%
燃料代 20000km分 428580円 57%
オイル交換 年4回 76000円 10%
タイヤ交換 2年毎 38400円 5%
任意保険料 100% 102000円 14%
合計
[1万kmとの差額]
757300円
+290500円
-

自動車関連費用は家計に多大なるダメージを与えてきますから、不要不急の外出を控えたり、今流行の走行距離に応じて保険料が変わる任意保険を選んだり、1円でも安いガソリンスタンドを探したり、グレードの低いオイルやタイヤでお茶を濁したり…と、あの手この手で工夫して耐え忍びましょう。

「しかし物には限度がある、数年単位の維持費を考えると気が滅入る、だが車は必要だ、背に腹は代えられぬ…」というときは、排気量が小さくて燃費が良くて、車両重量の軽い車に乗りかえるという選択をしますと、各種税金や保険料、車検費用などなどトータルの維持費が格段に抑えられお財布もニッコニコです。


【WLTC特典】市街地・郊外・高速道路の走行比率を変えるとどうなるの?

ひとくちにWLTCモード燃費と言いましても、信号や渋滞があるノロノロ道路の走行を想定した市街地モード(5.6km/L)、信号や渋滞が少ないスイスイ道路の走行を想定した郊外モード(8.8km/L)、高速道路の走行を想定した高速道路モード(10.3km/L)という3つの走行パターンを内包してありまして、これらを「平均的な使用時間配分」なるもので構成したのがWLTCモード燃費(8.4km/L)ということになります。

ここでは年間走行距離を10000kmとして市街地、郊外、高速道路の走行比率を変えてみたとき、WLTCモード燃費でのガソリン代214290円からどのように変化するかを見ていきたいと思います。

  • 1リットル180円として計算。
  • []内は低燃費タイヤ装着(エコタイヤ)で燃費が3%向上すると仮定した場合のガソリン代。
    たった3%のようですが、もともとの燃費が…なため、お財布には劇的な効果があります。
参考:燃費が3%向上すると…?
市街地5.6km/L → 5.8km/L
郊外8.8km/L → 9.1km/L
高速道路10.3km/L → 10.6km/L

●例1:都市部にお住まい

まず最初に、市街地の住まいを想定して、走行の大半を市街地(90%)、たまに郊外へお買い物(5%)、稀に高速道路に乗ってどこか遠くへ…(5%)という場合で見てみます。

市街地90%・郊外5%・高速5%
市街地9000km289280円
[279310円]
郊外500km10220円
[9880円]
高速道路500km8730円
[8500円]
合計金額
WLTC燃費との差額
平均燃費
308230円
+93940円
5.8km/L
エコタイヤ合計金額
純正タイヤとの差額
平均燃費
297690円
-10540円
6.0km/L
  • 市街地走行のガソリン代
    市街地の走行を9000kmとするとき、市街地モード燃費が5.6km/Lではガソリン1607.1Lを消費して、ガソリン代は289280円になります。
  • 郊外走行のガソリン代
    郊外の走行を500kmとするとき、郊外モード燃費が8.8km/Lではガソリン56.8Lを消費して、ガソリン代は10220円になります。
  • 高速道路走行のガソリン代
    高速道路の走行を500kmとするとき、高速道路モード燃費が10.3km/Lではガソリン48.5Lを消費して、ガソリン代は8730円になります。

このパターンでは使用した燃料量が1712.4L、かかったガソリン代が308230円となり、平均燃費は5.8km/L(-2.6km/L)、WLTCモード燃費とのガソリン代の差は+93940円という結果になりました。

低燃費タイヤ装着で燃費が3%アップするとして、同じ条件で走行するとガソリン代は297690円となり、10540円安くなります。車検2回ごとにタイヤ交換するとき、寿命までの5年間で52700円の経費削減になる計算です。純正タイヤとエコタイヤの差額がこれ以上ならお得、以下なら…?

●例2:市街地と郊外を行き来

次に、とにかく市街地と郊外を行ったり来たりする条件を想定して、市街地の走行を50%、郊外の走行を50%、高速道路は走行しない場合を見てみます。

市街地50%・郊外50%・高速0%
市街地5000km160720円
[155180円]
郊外5000km102280円
[98910円]
高速道路0km0円
[0円]
合計金額
WLTC燃費との差額
平均燃費
263000円
+48710円
6.8km/L
エコタイヤ合計金額
純正タイヤとの差額
平均燃費
254090円
-8910円
7.1km/L
  • 市街地走行のガソリン代
    市街地の走行を5000kmとするとき、市街地モード燃費が5.6km/Lでは892.9Lを消費して、ガソリン代は160720円になります。
  • 郊外走行のガソリン代
    郊外の走行を5000kmとするとき、郊外モード燃費が8.8km/Lでは568.2Lを消費して、ガソリン代は102280円になります。

このパターンでは使用した燃料量が1461.1L、かかったガソリン代が263000円となり、平均燃費は6.8km/L(-1.6km/L)、WLTCモード燃費とのガソリン代の差は+48710円という結果になりました。

低燃費タイヤ装着ではガソリン代が254090円となり、1年間で8910円、5年間で44550円の経費削減になる計算です。

●例3:市街地・郊外・高速道路をMix

続いて、都市部に住んでいて郊外の職場へ通勤、あるいは郊外に住んでいて都市部の職場へ通勤、高速利用もバッチリ!という感じでシミュレーションしてみます。

市街地33.3%・郊外33.4%・高速33.3%
市街地3330km107030円
[103340円]
郊外3340km68310円
[66060円]
高速道路3330km58190円
[56560円]
合計金額
WLTC燃費との差額
平均燃費
233530円
+19240円
7.7km/L
エコタイヤ合計金額
純正タイヤとの差額
平均燃費
225960円
-7570円
8.0km/L
  • 市街地走行のガソリン代
    市街地の走行を3330kmとするとき、市街地モード燃費が5.6km/Lでは594.6Lを消費して、ガソリン代は107030円になります。
  • 郊外走行のガソリン代
    郊外の走行を3340kmとするとき、郊外モード燃費が8.8km/Lでは379.5Lを消費して、ガソリン代は68310円になります。
  • 高速道路走行のガソリン代
    高速道路の走行を3330kmとするとき、高速道路モード燃費が10.3km/Lでは323.3Lを消費して、ガソリン代は58190円になります。

このパターンでは使用した燃料量が1297.4L、かかったガソリン代が233530円となり、平均燃費は7.7km/L(-0.7km/L)、WLTCモード燃費とのガソリン代の差は+19240円という結果になりました。

低燃費タイヤ装着ではガソリン代が225960円となり、1年間で7570円、5年間で37850円の経費削減になる計算です。

●例4:農村部にお住まい

最後に、びっくりするほど田舎な住まいを想定して、市街地の走行を5%、郊外の走行を90%、高速道路の走行を5%とした場合を見てみます。

市街地5%・郊外90%・高速5%
市街地500km16070円
[15520円]
郊外9000km184090円
[178020円]
高速道路500km8730円
[8500円]
合計金額
WLTC燃費との差額
平均燃費
208890円
-5400円
8.6km/L
エコタイヤ合計金額
純正タイヤとの差額
平均燃費
202040円
-6850円
8.9km/L
  • 市街地走行のガソリン代
    市街地の走行を500kmとするとき、市街地モード燃費が5.6km/Lでは89.3Lを消費して、ガソリン代は16070円になります。
  • 郊外走行のガソリン代
    郊外の走行を9000kmとするとき、郊外モード燃費が8.8km/Lでは1022.7Lを消費して、ガソリン代は184090円になります。
  • 高速道路走行のガソリン代
    高速道路の走行を500kmとするとき、高速道路モード燃費が10.3km/Lでは48.5Lを消費して、ガソリン代は8730円になります。

このパターンでは使用した燃料量が1160.5L、かかったガソリン代が208890円となり、平均燃費は8.6km/L(+0.2km/L)、WLTCモード燃費とのガソリン代の差は-5400円という結果になりました。

低燃費タイヤ装着ではガソリン代が202040円となり、1年間で6850円、5年間で34250円の経費削減になる計算です。

以上、極端な条件でのシミュレーションではありますが、走行シチュエーションによって平均燃費は変わり(5.8km/L・6.8km/L・7.7km/L・8.6km/L)、ガソリン代のほうもなかなかな違い(308230円・263000円・233530円・208890円)が出てくることがわかります。


市街地・郊外・高速道路の満タン航続距離

各モード燃費と航続距離
WLTCモード燃費
8.4km/L
588.0km
市街地燃費
5.6km/L
392.0km
[-196.0km]
郊外燃費
8.8km/L
616.0km
[+28.0km]
高速道路燃費
10.3km/L
721.0km
[+133.0km]

WLTCモード燃費には市街地モード・郊外モード・高速道路モードという3つの走行パターンが内包されておりますので、参考までにそれぞれのモード燃費で燃料タンクが空になるまで走行した場合の満タン航続距離を計算してみます。

燃料タンクの容量を70Lとしたとき、市街地モード燃費5.6km/Lでの航続距離は392.0km(-196.0km)、郊外モード燃費8.8km/Lでの航続距離は616.0km(+28.0km)、高速道路モード燃費10.3km/Lでの航続距離は721.0km(+133.0km)となります。

ある特定のシチュエーションのみを、燃料タンクが空になるまで走行することはなかなかありませんが、「その気になればこのくらいの距離を走れちゃうんだぜ!」という参考データだけは持っておくと、次回の給油回数削減チャレンジでギリギリのラインを狙っていくのに役立つ、かもしれません。


Fタイプ クーペの燃料タンクと燃費と航続距離と

燃料タンクと燃費と航続距離と
WLTCモード燃費 8.4km/L
燃料タンク容量 70L
航続距離(カタログ燃費) 588.0km
航続距離(80%燃費) 469.0km
満タンプライス 12600円
1km走行コスト 21.43円
1万円でどこまで行ける? 466.7km
車両価格/航続距離 27041円/km

WLTCモード燃費が8.4km/L、燃料タンク容量70リットルとすると、カタログ燃費の通りに走行できれば航続可能距離は588.0kmになります。

実際にはそうもいきませんから、オイル交換やタイヤ空気圧の管理といった定期メンテナンスを確実に実施した上での実燃費をカタログ燃費の90%(7.6km/L)とすると532.0km、80%(6.7km/L)だと469.0km、70%(5.9km/L)では413.0kmという航続距離になります。

燃料タンクに1滴の燃料もないスッカラカンの状態から満タンにしたときの金額を計算してみますと、ハイオクガソリンを1リットルあたり180円で70リットルの給油をすると12600円、上で計算した航続距離を踏まえると588.0km(80%燃費時469.0km)を走行するのに12600円かかる計算です。

燃費を8.4km/Lとしたときの1km走行コストは21.43円、10万km走行したときの燃料代は214.3万円です。この金額は燃費と使用燃料(レギュラー・ハイオク・軽油など)の単価により変動します。10年10万kmなら21.4万円/年、7年10万kmなら30.6万円/年、5年10万kmなら42.9万円/年、3年10万kmなら71.4万円/年となります。


ついでに1万円の燃料代でどこまで行けるかも計算してみますと、カタログ通りの燃費で走行できれば466.7km(往復なら片道233.3km)、カタログ値の80%なら373.3km(片道186.7km)離れたところまで行くことができます。

ちなみに、1回の給油で588.0kmの距離を移動できるJ60MC型 Fタイプ クーペ [R-Coupe P575 AWD]という乗り物を、1590.0万円で手に入れたと考えたとき、この車が1km走行するにあたっては「27041円の値打ちがある!」と言える、かもしれません。


カタログデータから見えてくる要素

508PS型エンジン簡易性能曲線図
508PS型エンジン性能曲線図もどき
各回転域での馬力
3500回転時の馬力 349PS
6500回転時の馬力 575PS
各回転域でのトルク
3500回転時のトルク 71.4kgm
6500回転時のトルク 63.4kgm
508PS型エンジンの性能

まずおさらいとして、搭載している508PS型4999cc、V型8気筒のスーパーチャージャー付きエンジンは6500回転時に最高出力575馬力を、3500回転時に最大トルク71.4kgmを発生します。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力が計算できますので、それぞれの点と点とを線で繋いでパワーカーブとトルクカーブのエンジン性能曲線図もどきを作ってみました。

トルクの山が中央より左にあるか右にあるかを基準にしてエンジン特性を探ってみますと、低めの回転数から中間域にトルクのピークがあるこのエンジンは、街中での普段使いに心地よく、高回転もそれなりでバランスの取れたタイプです。多くの乗用車がこの特性に当て嵌まるのではないかと思います。

※実際のところは車両重量やギヤ比、排気量に対する気筒数の多少によって印象が異なってくると思います。

ちなみに、エンジンのパワーバンドを「最大トルクが発生する3500rpmから最高出力が発生する6500rpmまで」の3000rpmとしたときの、最高回転数に対するパワーバンドの割合は46.1%となります。※右記(下記?)簡易性能曲線図オレンジ色の帯域

最高出力ランキング リスト
5000cc以下クラス編
輸入車・外車の小型車&普通車編
最大トルク ランキング リスト
5000cc以下クラス編
輸入車・外車の小型車&普通車編

うわっ…私の体重、重すぎ…?

さて、車の速さを知るための指標としてよく使われる パワーウェイトレシオ3.200kg/PS(1840kg/575PS)となっていますが、巷でよく見るであろうこの数値の多くはドライバーが乗った状態でのものではなく、あくまでも車両重量と最高出力のみで計算したものです。

車重と搭乗者とPWR
車体のみ3.200kg/PS
車体+1人3.296kg/PS
車体+2人3.391kg/PS
お腹と車重とPWR
車体+60kg3.304kg/PS
車体+70kg3.322kg/PS
車体+80kg3.339kg/PS
車体+90kg3.357kg/PS
車体+100kg3.374kg/PS

というわけで、車両総重量の求め方に倣い人間の体重55kgを加えて計算し直してみますと、ドライバーのみが搭乗したときのパワーウェイトレシオは3.296kg/PS(1895kg/575PS)となり、数値としては0.096kg、比率にすると3.0%ほど悪化します。

次に乗車定員いっぱいの2人が搭乗した場合、車両重量に110kgがプラスされてパワーウェイトレシオは3.391kg/PS(1950kg/575PS)となり、数値としては0.191kg、比率にすると6.0%も悪化することになります。

もともとが重量級の車であれば、人が少々乗ったところで体重の占める割合が小さいことから変化も小さいですが、軽量級の車ではお腹まわりのお肉が大きな影響力を持つことがわかります。


J60MC Fタイプ クーペのライバル候補車たち

愛すべきライバル車種
2020/01

-
Fタイプ クーペ
3.296kg/PS
1895kg/575PS|5.0L-SC
[車体のみPWR:3.200]
2016/08

車種詳細
NSX
3.619kg/PS
1835kg/507PS|3.5L-TT
車体のみPWR:3.511
2016/07

車種詳細
GT-R
3.184kg/PS
1815kg/570PS|3.8L-TT
車体のみPWR:3.088
2001/01

車種詳細
340R
3.567kg/PS
635kg/178PS|1.8L-NA
車体のみPWR:3.258
2011/11

車種詳細
GT-R
3.264kg/PS
1795kg/550PS|3.8L-TT
車体のみPWR:3.164
2016/04

車種詳細
M4 GTS クーペ
3.310kg/PS
1655kg/500PS|3.0L-TB
車体のみPWR:3.200

車両重量にドライバーの体重を加えますと、過去に見てきたパワーウェイトレシオ界隈の様相も変わってくることがわかりましたので、ここでは余興としてドライバー込みのパワーウェイトレシオ3.296kg/PSと近い数値を持つ車種をいくつかピックアップしてみます。

2.966kg/PSから3.626kg/PSの範囲で人気度を優先して選んでみたところ、ホンダの2人乗りクーペ「NC1型 NSX」、日産の4人乗りクーペ「R35型 GT-R」、ロータスの2人乗りオープンカー「謎型 340R」、日産の4人乗りクーペ「R35型 GT-R」、BMWの4人乗りクーペ「3C30型 M4 GTS クーペ」という顔ぶれが並びました。

「えっ!あの車がライバル!?(大歓喜)」だったり、あるいは「えっ…あの車がライバル…?(大号泣)」だったり悲喜こもごもありましょうが、数値の上では「良き隣人」ということになります。

J60MC型 Fタイプ クーペ [R-Coupe P575 AWD]とパワーウェイトレシオが近い車種|3.296kg/PS

ちなみに、日本では Power Weight Ratio(1馬力あたりが担う重量)が自動車の加速性能を推測する指標としてよく用いられますが、海外では Power to Weight Ratio(車両重量1トンあたりの出力)という指標が重用され、こちらの数値は312.5PS/tとなっています。


Fタイプ クーペがバイクと競争するなら…?


車種詳細
CB1300SB|1284cc
3.280kg/PS
328kg/100.0PS/11.73kgm
[車体のみPWR:2.730]
1速ギヤ速度:73.5km/h
最小TWR:0.650
2020/01

-
Fタイプ クーペ|4999cc
3.296kg/PS
1895kg/575PS/71.4kgm
[車体のみPWR:3.200]
1速ギヤ速度:53.8km/h
最小TWR:0.566

車種詳細
XSR700|688cc
3.301kg/PS
241kg/73.0PS/6.90kgm
[車体のみPWR:2.548]
1速ギヤ速度:72.6km/h
最小TWR:0.577

幸か不幸か、自動車に魅入られてしまった人はバイクにも並々ならぬ興味があったりします。バイクという乗り物は往々にして、見るからに速そうならきっちりと速いもので、高回転高出力のエンジンと超軽量な車体を武器に、目にも留まらぬ速さで点になります。

などと、酸いも甘いも噛み分けすぎて達観したようなことを言っても人生つまりませんので、ここではFタイプ クーペとパワーウェイトレシオが近いバイクを探して、ああでもない、こうでもないを楽しみましょう。

SC54 CB1300SBと競争してみる

まずFタイプ クーペより少しPWRが低いバイクとして、ホンダのCB1300SBが挙げられます。PWRの3.280kg/PSは車両重量273kgにライダーの体重55kgを加えた328kgを、最高出力100.0PSで割ったものです。

自動車であれバイクであれ、最も鋭い加速を見せるのは、最も低いギヤ比(変速比)のときですので、各々の1速ギヤ最高速と、1速ギヤかつ最大トルク発生時のトルクウェイトレシオを比べてみますと、1速ギヤ最高速はCB1300SBに19.7km/h劣り、1速TWRは0.084kg勝る、という結果になりました。※1速TWRは車体のみの数値(今後の課題)

RM22J XSR700と競争してみる

続いて少しPWRが高いバイクとしては、ヤマハのXSR700が挙げられます。PWRの3.301kg/PSは車両重量186kg+55kgの241kgを、最高出力73.0PSで割ったものです。こちらも同様に比べてみますと、1速ギヤ最高速は18.8km/h劣り、1速TWRは0.011kg勝る、という結果になりました。


その他の諸元いろいろ

いろいろな数値
WB/TR比 1.640
平均ピストンスピード 20.15m/s
トルクウェイトレシオ 25.77kg/kgm
1馬力あたりのお値段 27652円
排気量1Lあたり馬力 115.00PS/L
排気量1Lあたりトルク 14.28kgm/L
1気筒あたりの馬力 71.9PS
1気筒あたりのトルク 8.9kgm
パワーバンド比率 46.1%
燃費×馬力 4830.0pt
各種ランキング
クーペのPWR
4.5~5.0L以下のPWR

トルクウェイトレシオは25.77kg/kgm(1840kg/71.4kgm)なのですが、トルクについてはギヤ比でどうにでもなりますので、ここでの大小はあまり重要ではありません。(詳しくはギヤ比編にて)

ついでに馬力単価を計算してみると、お値段が15900000円、最高出力が575馬力であるこの車の場合、1馬力あたりのお値段は27652円、逆に1万円あたりでは0.36馬力を得ることができます。ついでのついででトルク1kgmあたりのお値段は222689円、1万円あたりでは0.04kgmとなります。

1馬力あたりのお値段が安い車ランキング
総合ランキング
輸入車編
5000cc以下の車編
クーペ編

●最高出力を排気量で割ったリッター換算馬力は115.00PS/L、トルクは14.28kgm/L、1気筒あたりの馬力は71.9馬力、トルクは8.9kgmとなり、このエンジンが575馬力を6500回転で発生させているときの平均ピストンスピードは20.15m/sです。
排気量1リットルあたりの馬力ランキング

ちなみに、ストローク量が93.0mmである508PS型エンジンの場合、平均ピストンスピードの上限を20.0m/sとしたときの高回転化の上限は6450回転です。●最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えているこのエンジンは実に良く設計された秀逸なエンジンであると言えます。一昔(二昔?)前の常識を覆す誉れ高きエンジンですので、ぜひとも重要文化遺産に登録して後世に伝えていかねばなりません。
平均ピストンスピードが速い車ランキング

●この車のホイールベースを前後トレッドの平均で割って算出されるホイールベーストレッド比は1.640になります。全ての車種の平均値である1.753を基準にざっくりと分類すると、どちらかというと小回りを得意とする傾向にある車と言えそうです。
ホイールベーストレッド比が小さい車ランキング

●低燃費かつ高出力な車を調べるための指標として「燃費×最高出力」の数値を用いる場合、燃費が8.4km/L、最高出力が575PSであるこの車の獲得ポイントは4830.0ptになります。
戯れに車両重量1840kgを100kg単位にした18.4で割ってみたところ、その数値は262.50ptとなりました。(燃費が良くてパワーがあって速い車を探すのに使えるかも?)



ギヤ比と回転数と速度と駆動トルクとトルクウェイトレシオのステキな関係

続いてギヤ比を見てみます。あるギヤで走行中にエンジン(正確にはクランクシャフト)をレブリミットまで回したときの速度と、レブリミットでシフトアップした後の回転数を計算するためには、何回転で回転リミッターが働くのかを知らねばなりません。

しかし具体的な数値を知るにはECU(エンジン・コントロール・ユニット)にあるデータを参照しなければならなかったりで実現は厳しく、ならばとレッドゾーンが始まる回転数から推測しようにも、最近ではタコメータが装着されていない車両が多くあって心が折れます。

ピークパワーが発生する回転数(この車の場合6500rpm)から必要以上に回してもあまり意味はないのでそれを上限としても良いのですが、気分よく運転しているときは往々にして回しすぎるのが常ですから、ここでは500回転をプラスした7000回転を仮のレブリミットとして計算してみます。

暫定レブ 7000rpm|タイヤサイズ 295/30R20|タイヤ直径 68.5cm|円周長 215.2cm
ギヤ ギヤ比 総減速比 ステップ比 シフトアップ
後の回転数
7000rpm
の速度
100kmh
の回転数
タイヤの
最大駆動力
1速 4.714 15.60 -
-
58km/h 12080rpm 3252.8kgm
2速 3.143 10.40 0.667 1-2/
4670rpm
87km/h 8060rpm 2168.8kgm
3速 2.106 6.97 0.670 2-3/
4690rpm
130km/h 5400rpm 1453.2kgm
4速 1.667 5.52 0.792 3-4/
5540rpm
164km/h 4270rpm 1150.3kgm
5速 1.285 4.25 0.771 4-5/
5400rpm
213km/h 3290rpm 886.7kgm
6速 1.000 3.31 0.778 5-6/
5450rpm
273km/h 2560rpm 690.0kgm
7速 0.839 2.78 0.839 6-7/
5870rpm
325km/h 2150rpm 578.9kgm
8速 0.667 2.21 0.795 7-8/
5570rpm
409km/h 1710rpm 460.2kgm
Final 3.310 レシオカバレッジ(変速比幅)7.067

ギヤの繋がりイメージ
J60MC型Fタイプ クーペ8AT車のギヤ比イメージ
  • ステップ比(歯車比)とは隣接したギヤ同士の離れ具合を示した数値で、1.000に近いほどシフト操作後の回転数の変化が小さく(ギヤ同士の繋がりが良い)、離れるほど変化が大きく(繋がりが悪い)なることを表します。
  • シフトアップでは現在の回転数にステップ比を乗じた回転数まで下がり、シフトダウンでは現在の回転数にステップ比を除した回転数まで上がります。
  • 赤い数字はシフトアップ後にパワーバンドの下限(最大トルク発生回転数3500rpm)を下回るもの。
  • 時速100kmでの回転数は100km/h÷60÷タイヤ円周長×各ギヤ比×ファイナルギヤ比(3.310)で算出。
  • タイヤの最大駆動力は最大トルク(71.4kgm)×各ギヤ比×ファイナルギヤ比(3.310)÷タイヤの有効半径(0.3425m)で算出。
    ただし、ATおよびCVTにあるトルクコンバーターでのトルク増幅効果は考慮できていません。

本来のレブリミットとは異なるので最高速の数値は前後しますが、上記の設定での最高速度は8速ギヤの409km(6500rpmでは380.1km/h)となります。この速度は空気抵抗、パワー不足、スピードリミッターなどネガティブ要素の一切を無視して、単にギヤ比とエンジン回転数、タイヤサイズだけで計算した速度です。

おまけ:6500rpmでシフトアップする場合の各ギヤ速度

6500rpmでの速度と
シフトアップ後の回転数
ギヤ速度回転数
1速ギヤ54km/h-
2速ギヤ81km/h4340rpm
3速ギヤ120km/h4360rpm
4速ギヤ152km/h5150rpm
5速ギヤ197km/h5010rpm
6速ギヤ254km/h5060rpm
7速ギヤ302km/h5450rpm
8速ギヤ380km/h5170rpm

J60MC型Fタイプ クーペに搭載された508PS型4999ccエンジンのレブリミットを、最高出力が発生する6500rpmとしてシフトアップするときの速度をシミュレートしてみます。

まず1速ギヤで6500rpmまで引っ張ると54km/hまで加速し、2速ギヤにシフトアップすると回転数は6500rpmから4340rpmまで落ち、そこから6500rpmまで加速を続けると速度は81km/h(+27km/h)になります。

3速ギヤでは4360rpmまで落ちて6500rpmで120km/h(+39km/h)に、4速ギヤでは5150rpmまで落ちて6500rpmで152km/h(+32km/h)に、5速ギヤでは5010rpmまで落ちて6500rpmで197km/h(+45km/h)になります。

続いて6速ギヤでは5060rpmまで落ちて6500rpmで254km/h(+57km/h)に、7速ギヤでは5450rpmまで落ちて6500rpmで302km/h(+48km/h)に、8速ギヤでは5170rpmまで落ちて6500rpmで380km/h(+78km/h)という具合に加速していくイメージです。

タイヤの最大駆動力にある数値は、エンジンが3500回転で最大トルク71.4kgmを発生しているとき、各々のギヤを介したのち実際にタイヤへと伝えられるトルクで、この数値が大きいほどタイヤを回そうとする力が大きく、より力強い加速をすることができます。

この数値を大きくするにはギヤ比を低く(加速重視・ローギヤード)する、タイヤを小径化する、エンジンの最大トルクを大きくするという方法があります。逆にギヤ比を高く(最高速重視・ハイギヤード)したり、タイヤを大径化したり、デチューンして非力にすると駆動トルクは小さくなって加速が鈍ります。


さて、世の中にはパワーウェイトレシオ(1馬力が担う重量・PWR)に似ているようで少し違うトルクウェイトレシオ(1kgmが担う重量・TWR)という指標があります。単純に車両重量を最大トルクで割れば25.77kg/kgmですから、パワーウェイトレシオ(3.200kg/ps)に比べると霞んで見えます。

しかしトルクはギヤを介することで増幅され、たとえば1速ギヤの場合ですと3252.8kgmになります。これを踏まえて改めて車両重量(1840kg)を1速ギヤの最大駆動力(3252.8kgm)で割ってみると0.566kg/kgmとなり、今度は逆にPWRが霞んで見えるような数値が出てきます。最高出力が発生する6500回転でのトルク(63.4kgm)からTWRを算出すると0.64kg/kgmとなり、3500-6500回転の回転域では0.566-0.64kg/kgmの間で推移することがわかります。


ある速度における各ギヤでの回転数

ギヤ 40
km/h
60
km/h
80
km/h
100
km/h
120
km/h
140
km/h
180
km/h
1速 4830 7250 9670 12080 14500 16920 21750
2速 3220 4830 6450 8060 9670 11280 14500
3速 2160 3240 4320 5400 6480 7560 9720
4速 1710 2560 3420 4270 5130 5980 7690
5速 1320 1980 2640 3290 3950 4610 5930
6速 1030 1540 2050 2560 3080 3590 4610
7速 860 1290 1720 2150 2580 3010 3870
8速 680 1030 1370 1710 2050 2390 3080
※赤い数字は暫定レブリミット(7000rpm)を上回るもの。

この項目では各々のギヤと速度を基準として、任意のギヤを選択中に時速40km~180kmにて走行するとき、エンジンの回転数がどのくらいになるのかを一覧表にしてみました。この車の場合、最も高いギヤ(0.667)を選択して時速100kmにて走行すると1710回転まで回ります。

ちなみに、一般道の速い流れやバイパスでよくある60km/hでは1030回転、対面通行の高速道路での制限速度70km/hでは1200回転、一般的な高速道路の80km/hでは1370回転、100km/hでは1710回転、制限速度が120km/hになると2050回転になります。小型・普通乗用車の速度リミッターが働く180km/hでは3080回転まで回ります。

これほどまでに時速100kmでの巡航回転数が低ければ、(パワーさえ足りていれば)高速道路では向かうところ敵なしです。エンジンノイズによる疲れとは無縁の世界、ただひたすらに回り続けるエンジンのなんと頼もしいことでしょう。これに合わせてタイヤのロードノイズ、風きり音すらも完璧に抑え込まれていたならば、これはもはや完全無欠の高級車です。


ある回転数における各ギヤでの速度

ギヤ 1000
rpm
2000
rpm
3000
rpm
4000
rpm
5000
rpm
6000
rpm
7000
rpm
8000
rpm
1速 8 17 25 33 41 50 58 66
2速 12 25 37 50 62 74 87 99
3速 19 37 56 74 93 111 130 148
4速 23 47 70 94 117 140 164 187
5速 30 61 91 121 152 182 213 243
6速 39 78 117 156 195 234 273 312
7速 46 93 139 186 232 279 325 372
8速 58 117 175 234 292 351 409 468

この項目では各々のギヤとエンジンの回転数を基準として、任意のギヤを選択中にエンジンを1000回転刻みで8000回転まで回したとき、それぞれのギヤでどのくらいの速度が出ているのかを一覧表にしてみました。暫定レブリミット(7000回転)よりも回転数が高くなる欄の速度については赤文字で表記してあります。


純正装着タイヤの295/30R20と互換可能な車検対応サイズ|簡易版

下の表では純正サイズを基準としてタイヤ幅を-20mmから+20mm、扁平率を-5%から+5%まで変化させたときのスピードメータ誤差が、マイナス方向を水色、-5.0%から+2.0%までを緑色、+6.0%までを橙色に着色しています。

※ここではタイヤの直径(外径)のみを基準としています。タイヤの幅を広くしすぎてサスペンションと干渉したり、はみ出てしまって車検に通らないからとフェンダーを叩いたり引っ張ったりキャンバーを付けたりで四苦八苦、ホイール幅が狭すぎてなんかイマイチ…という事例もありますので、ホイールのオフセットとリム幅にはご注意ください。

純正タイヤ 295/30R20 | 直径 685mm

-20mm
幅275mm
-10mm
幅285mm
変更なし
幅295mm
+10mm
幅305mm
+20mm
幅315mm
-5%
25
扁平
275/25R20
37.7km/h
直径646mm
径差-39mm
285/25R20
38.0km/h
直径651mm
径差-34mm
295/25R20
38.3km/h
直径656mm
径差-29mm
305/25R20
38.6km/h
直径661mm
径差-24mm
315/25R20
38.9km/h
直径666mm
径差-19mm
0%
30
扁平
275/30R20
39.3km/h
直径673mm
径差-12mm
285/30R20
39.6km/h
直径679mm
径差-6mm
295/30R20
40.0km/h
685mm
0mm
305/30R20
40.4km/h
直径691mm
径差+6mm
315/30R20
40.7km/h
直径697mm
径差+12mm
+5%
35
扁平
275/35R20
40.9km/h
直径701mm
径差+16mm
285/35R20
41.3km/h
直径708mm
径差+23mm
295/35R20
41.8km/h
直径715mm
径差+30mm
305/35R20
42.2km/h
直径722mm
径差+37mm
315/35R20
42.6km/h
直径729mm
径差+44mm
+10%
40
扁平
275/40R20
42.5km/h
直径728mm
径差+43mm
285/40R20
43.0km/h
直径736mm
径差+51mm
295/40R20
43.4km/h
直径744mm
径差+59mm
305/40R20
43.9km/h
直径752mm
径差+67mm
315/40R20
44.4km/h
直径760mm
径差+75mm

もし上記表の中から車検に安心なタイヤを選ぶのであれば、メーター誤差が-5.0%から0%の間にあって車高への影響も少ない 、275/30R20 、285/25R20、285/30R20 、295/25R20 、305/25R20 、315/25R20あたりのタイヤがおすすめです。

295/30R20のタイヤ幅を275mmから325mmまで、扁平率を15%から45%までの範囲に拡大した適合タイヤの一覧表および、100km/h回転数、加速力と最高速の変化、走行距離計の誤差による実燃費とのズレについては、295/30R20の適応サイズと性能の変化 [J60MC型Fタイプ クーペ編]のページをご覧ください。

純正のホイールサイズから大径化したり、幅の広いタイヤ、扁平率の低いタイヤに交換しようとするとタイヤ代が高くなる傾向にありますので、少しでも維持費を抑えたい、今はお財布の中身が心許ないといった際にはタイヤ通販をご利用ください。
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J60MC型Fタイプ クーペ[5.0L-SC 4WD/8AT]の通知表

ここではこのページを締めくくる集大成として、パワーウェイトレシオや1速ギヤでの加速性能、排気量1Lあたりの出力、ホイールベーストレッド比からなるスポーツ性能部門と、時速100kmでの巡航回転数、燃費、車体の大きさ、室内の広さからなるユーティリティ部門とに大別し、このサイトで登録している全車種の平均値から偏差値を求めて優劣を調べてみたいと思います。

スポーツ性能部門
評価項目数値得点
パワーウェイト3.200kg/ps67.97
1速ギヤ加速性能0.566kg/kgm71.54
1L換算馬力115.00ps/L54.46
1L換算トルク14.28kgm/L44.97
WB/TR比1.64063.71
ワイド&ロー指数0.68365.20
前面の面積2.531m²52.62
最低地上高-43.72
スポーツ性能部門の得点464.19

※ここではパワーウェイトレシオ・1速ギヤ加速性能・ホイールベーストレッド比・ワイド&ロー指数・前面の面積については数値が小さいほど高得点。リッター換算馬力・換算トルクについては数値が大きいほど高得点としています。


ユーティリティ部門
評価項目数値得点
WLTC燃費8.4km/L34.21
年間維持費466800円37.23
100kmh回転数1710rpm60.35
航続距離588.0km42.65
車の大きさ11.315m³49.51
室内の広さ(仮) 2.052m³37.03
最小回転半径5.5m43.33
馬力単価27652円41.83
ユーティリティ部門の得点346.14

※ここでは燃費・航続距離・車の大きさ・室内の広さは数値が大きいほど高得点、年間維持費・100km/h回転数・最小回転半径・馬力単価は数値が小さいほど高得点としています。

スポーツ性能部門およびユーティリティ部門の得点を合計した J60MC型Fタイプ クーペ[5.0L-SC 4WD/8AT] の総合得点は 810.33 点です。獲得点数が多い車種から順番に並べた 総合得点ランキング を用意してありますので、よろしければご覧ください。

上記リンク先では、今回このページで紹介したJ60MC型Fタイプ クーペ(4WD/8AT) の各種スペックを、「全ての車種」、「全てのクーペ」、「5000ccのクーペ」という属性で評価したとき、それぞれの項目が相対的にどのくらい優れているか、劣っているかを調べてみました。基準が変わると手のひらを返したように評価も変わる様子をご堪能ください。