KWH5F カングー 性能と維持費 FF/6AT 5人 265万円 2021年式

このページでは、ルノーの5ドア・5人乗りミニバン、2代目のABA-KWH5F型カングー Zen【2021/04モデル・114PS/19.4kgm・FF/AT車】のカタログスペックを基に、税金と年間維持費、車検費用の目安の算出、主要諸元から推測される走行性能のインプレ評価およびレビュー、並びにタイヤサイズ変更のシミュレーションをしています。

KWH5F カングー
販売期間:2009/09 - 2022/01

画像はルノーより引用
http://www.renault.jp/
投稿:|更新:

ボディサイズが全長4280mm×全幅1830mm×全高1810mm、排気量は1197ccであることから、大雑把に分類すると1.2リットルクラス(1200cc、自動車税は1.5L以下を適用)に属し、全長、全高、排気量は5ナンバー枠ながら全幅が1.7mを超えていることにより3ナンバー登録になります。この手のタイプはいわゆる世界戦略車(グローバルカー)に多くあるようです。
参考:100PS~150PSの自動車 一覧

駆動方式にはエンジンを車体の前方に搭載し、前輪のみを駆動する、フロントエンジン・フロントドライブ方式(FF・FWD・前輪駆動とも)を採用しています。この方式はエンジンと駆動系(ミッション、デフ等)の収納がエンジンルーム内で完結するので、軽量コンパクトかつ低コスト化が実現でき、室内を広く作りやすい(エンジンが横置きの場合)ほか、後輪駆動車に比べて直進安定性に優れることが主な特長です。

ちなみに、車体形状や用途に関係なく全長のみを基準とした分類方法で各セグメントに当てはめると、全長が4280mmであるこの車の場合は「ロア ミディアム」(Lower-Medium:3850mm超-4300mm以下・Cセグメント相当)に属します。※国や時代によって基準は異なります。

KWH5F型 カングー [1197cc/114PS FF/6AT] お品書き


維持費にまつわるエトセトラ

エンジンの最高出力・最大トルク

ギヤ比と加速・回転数と最高速

タイヤサイズ変更とメーター誤差

各種スペックの相対評価と通知表
お金にまつわるエトセトラ
1年間のランニングコスト
エンジン性能と特性
パワーウェイトレシオ
ギヤ比と加速力&
エンジン回転数と最高速
タイヤサイズ変更と
スピードメーター誤差
各種スペックの相対評価と
レーダーチャート

2代目カングーの類型&他グレード 新着順

  • 吸気方式のNAは自然吸気、TBはターボ、SCはスーパーチャージャー、TSはTB+SCの略
  • 燃費の文字が赤色のものはレギュラーガソリン、青色のものはハイオクガソリン、緑色のものは軽油を燃料とするエンジンを搭載した車種

年式
画像
車両型式
グレード
出力
燃費
2021/07
WKK9K型
[Limited-Diesel]
1.5L-TB・FF/6MT・282.0万円
116PS・26.5kgm・19.0km/L
116PS
26.5kgm
19.0km/L
2021/04
KWH5F型
[Zen]
1.2L-TB・FF/6MT・254.6万円
114PS・19.4kgm・13.5km/L
114PS
19.4kgm
13.5km/L
2016/07
KWH5F1型
[Zen EDC]
1.2L-TB・FF/6AT・259.0万円
114PS・19.4kgm・14.7km/L
114PS
19.4kgm
14.7km/L
2代目カングーの車両型式・グレード一覧【全8車種】
カングーの新型モデル
3代目 KFKH5H型カングー
KFKH5H型カングーは2023/03に登場した3代目モデル。参考車両の「Zen」は全長4490mm、全幅1860mm、全高1810mmの車体に、131PS/24.5kgmを発生するH5H型1333ccエンジンを搭載。

カングーの旧型モデル
初代 KCK4M型カングー
KCK4M型カングーは2002/03に登場した初代モデル。参考車両の「1.6」は全長4035mm、全幅1675mm、全高1810mmの車体に、95PS/15.1kgmを発生するK4M型1598ccエンジンを搭載。


KWH5F カングーの主要諸元と大きさ比較

主要諸元
メーカー ルノー
車名&
グレード
カングー
Zen
その他 3.950(1-2-5-6)/4.388(3-4)
お値段 2647000円
車両型式 ABA-KWH5F
駆動方式
変速機
FF・前輪駆動(FWD,2WD)
6速AT・6速オートマ車
ドア/定員 5ドア・5名乗車
ホイールベース 2700mm
トレッド 1520mm/1535mm
WB/TR比 1.767
最小半径 5.4m
最低高 170mm
タイヤ 前輪:195/65R15
後輪:195/65R15
ブレーキ 前:ベンチレーテッドディスク
後:ディスク
車両重量 1450kg

※WB/TR比はホイールベーストレッド比の略。値が大きいほど直進安定性に優れ、小さいほど旋回性能が高くなりやすい。全ての車種の平均値は1.773。

カングーと各規格の大きさ比較
規格名 規格寸法 増減
カングー
車体寸法
全長 4280mm -
全幅 1830mm -
全高 1810mm -
軽自動車
新規格
全長 3400mm以下 +880mm
全幅 1480mm以下 +350mm
全高平均 1640mm +170mm
小型車規格
5ナンバー車
全長 4700mm以下 -420mm
全幅 1700mm以下 +130mm
全高平均 1496mm +314mm
普通車平均
3ナンバー車
全長平均 4643mm -363mm
全幅平均 1815mm +15mm
全高平均 1518mm +292mm

※上記グラフは100のラインを上回れば平均値以上、下回れば平均値以下を表す。グラフの伸びが大きいほど各規格の車両に対して相対的に車体が長い・広い・高い。※普通乗用車(3ナンバー車)の条件は全長4700mm超または全幅1700mm超または全高2000mm超と上限値が曖昧なため、ここでは普通乗用車に属する全ての車種の平均値との比較。※軽自動車・小型乗用車の全高はいずれも2000mm以下。ただし、ここでは各規格に属する車種の全高の平均値との比較。



カングーでの車中泊

ここでは全長の35%を【期待される荷室の長さ】、室内幅から100mm(不明の場合は全幅から400mm)引いたものを【期待される荷室の幅】とし、それらを掛け合わせて【期待される荷室の面積】、「縦の長さが厳しいなら斜めに寝れば良いじゃない!」ということで、おまけ要素として【対角線の長さ】も計算してみました。

期待される客室寸法
期待される荷室の長さ 1.498m
期待される荷室の幅 1.430m
対角線の長さ 2.071m
期待される荷室の面積 2.142m²

縦方向の長さが1.498m(対角線では2.071m)であれば、小柄な体型なら斜めに転げることで足を伸ばして寝られないこともなさそうです。

普通体型では斜めに転げた上で腰と膝を曲げれば何とかギリギリ、大柄な体型ではダンゴ虫のように丸まって腰痛覚悟で決死の車中泊を敢行せざるを得ません。

多くのミニバンや1BOXは室内長の寸法が大きいことから車中泊への期待が高まりますが、2列目、3列目シートの収納がイマイチの場合は車中泊の難易度がセダンよりも跳ね上がりかねません。その場合はシートを前ではなく後に倒してのフルフラットの可否が鍵を握ります。

車中泊にあると嬉しいアイテム


KWH5F カングーの税金・年間維持費シミュレーション

ここでは、春になると毎年欠かさず支払いを催促される自動車税30500円、払わなければ車検を受けさせてもらえない自動車重量税12300円/年と自賠責保険料8825円/年、年間1万km走行した際に掛かるガソリン代月額5000円の任意保険に加入し、走行5000km毎にエンジンオイル交換、5年5万km毎にタイヤ交換するとしたときの年間維持費(ランニングコスト)を見てみます。

さらに、2021/04モデルのカングーを4年落ちの中古で247.5万円にて購入し、頭金なしで5年ローンを組んだと仮定したときの年間支払額(金利分は含まず)も踏まえて、上記の維持費と合算した場合の想定維持費も計算してみました。

  • 中古車の価格は当該車種の参照年から経過した年数に応じて新車価格の90%から10%の範囲で上下させています。
    カングーの2021/04モデルの場合、2025年現在では4年が経過しているため、新車価格の85%である224.995万円に諸経費として22.5万円を足した247.5万円を中古車価格の目安としています。
  • ローンの年数については月額5万円の支払いを基準として、ローンの支払額が60万円以下は1年、120万円以下は2年、180万円以下は3年、240万円以上は4年、それ以上は5年としています。
  • 任意保険の金額については特に根拠のない一例です。具体的な掛け金は運転者の年齢や家族構成、年間走行距離、保険内容、車両保険の有無等によって大きく異なります。
  • 【PR】自動車保険は比較で安くなる!

2021年式を4年落ちの中古で買った場合の年間維持費

名目 区分 金額
自動車税 1500cc以下 13年未満 30500円
自動車重量税
1年分
1.5トン以下 13年未満 12300円
自賠責保険料
(1年換算)
自家用乗用車 8825円
燃料代
年間1万㎞
1万㎞÷12.0×195円/L 162500円
オイル交換
5000km毎
1回4500円×2回 9000円
タイヤ交換
5年5万km毎
1本10000円×4本÷5年 8000円
任意保険料
月額5000円
月額5000円×12ヶ月 60000円
ローン完済後の年間維持費 291200円
名目 区分 金額
車のローン額
1年分
月額41250円×12ヶ月 495000円
ローン返済中の年間維持費 786200円
次回車検費用の積み立て目安
重量税1年分+自賠責12ヶ月分+検査手数料等3000円程度 45300円
  • 初度登録から4年経過車の場合、「1500cc以下で13年未満」クラスの自動車税は30500円、「1.5トン以下で13年未満」クラスの自動車重量税は12300円(単年)です。
  • エンジンオイル交換の金額は、5000km走行ごとに4500円のオイル交換作業を年2回行うと仮定した場合のもの。
  • タイヤ交換の金額は、1本10000円のタイヤ4本を4年周期で交換すると仮定した場合のもの。
  • 任意保険料の金額は、月額5000円の保険に加入した場合の12ヶ月分の支払い額。
  • 2015年4月1日からの自動車税の割増(10%増税→15%増税)に対応。
  • 2016年4月1日からの自動車重量税の変更に対応。
  • 2019年10月1日以降に新車登録された自家用乗用車の自動車税額変更に対応。
    ただし今流行のエコカー減税(自動車税、自動車重量税等の減免)には対応できていません。
  • 2021年4月1日からの自賠責保険料の改定に対応。
  • 燃料消費率が緑文字のWLTCモード燃費はカタログ値の100%を、青文字のJC08モード燃費は93%を、赤文字の10・15モード燃費は85%を実燃費と仮定して計算。
  • 名目にある金額の基準は、年間維持費の算出基準まとめ をご覧ください。
  • 車検費用の目安とした45300円は、車検にまつわる全ての作業を自分自身で行うユーザー車検を想定したもので、車検代行を利用するなら車検代行手数料(15000円前後)が別途で必要です。
    安心安全の自動車整備工場にお任せするなら部品代と工賃(整備内容により変動)、24ヶ月点検整備(20000円前後)が追加され、車検費用は相応に高くなります。

お財布に厚みが増した勢いで少し色気を出して愛車にステータス性を求めるなら、月換算24300円くらいの出費は覚悟しましょう。なあに大丈夫、愛車のためです。

口癖のように「もうちょっと維持費が安ければねえ…?」なんて呟くその姿は自慢げなようであり、しかし哀愁を帯びているようでもあり、傍からすれば対応に困ります。より維持費の安い新車を買うほどではない…ないが…考えずにもいられない、そんなクラスです。全体から見るとこの辺りから面白味のある車が増えてきます。

カングーの維持費は高い?安い?

「カングーの年間維持費は291200円です!」と断じるのは実に簡単なことですが、「1500ccクラスという枠組みの中で維持費を比べたら高いの?安いの?」という点も外せません。はたしてカングーの維持費は高いのか、安いのか、例によって表を作って差額を求めてみます。


車名年間維持費差額
安いヤリス HV176100円-115100円
ジェイド215000円-76200円
フリード ハイブリッド229500円-61700円
スイフト スポーツ256800円-34400円
基準1500ccクラス平均258000円-33200円
ステップワゴン スパーダ266600円-24600円
コルト Ralliart-R289200円-2000円
カングーの維持費291200円
ゴルフ トゥーラン330800円+39600円
高いウーノ381500円+90300円

カングーの年間維持費を、1500ccクラスで最も維持費が安いヤリス HVと比較して115100円高く、最も高いウーノと比較して90300円安く、1500ccクラスの平均維持費との比較では33200円高くなっています。

最低額のヤリス HVと最高額のウーノは極端な例としても、1500ccクラスの平均的な維持費との差額を客観的に見て、カングーの維持費は まあまあ高い! と言えそうです。

年間維持費が安い 1500ccクラスの車 ランキング

カングーを維持するための年収要件

せっかく年間維持費を求めましたので、生活に支障を与えず無理なく維持できる年収をシミュレーションしてみましょう。ここでは年収の30%を天使の取り分として上納した残りを可処分所得(手取り収入)とし、うち10%、15%、20%を維持費に充てる場合で計算してみます。
※購入資金&ローン残高は考慮しません。

覚悟%年収月給手取り
10%380万円32万円25万円
15%250万円21万円17万円
20%190万円16万円13万円

維持費を可処分所得の10%までとする場合に必要な年収は380万円(総支給額32万円/月、手取り25万円/月)、ここから月額維持費2.4万円を支払うと残りは22.6万円です。価値観は人それぞれありますが、この年収があればそう負担感なく維持できそうです。

15%まで許容する場合に必要な年収は250万円(総支給額21万円/月、手取り17万円/月)、2.4万円を支払うと残りは14.6万円になります。

さて、手取りの20%を車の維持費に回す覚悟があるなら、年収が190万円(総支給額16万円/月、手取り13万円/月)あれば乗れないことはないでしょう。2.4万円を引くと残りは10.6万円…まあ…余裕があるとは言えません。

多方面に支障が出ることになる禁断の果実…ではありますが、1万km分の燃料代17万円を含んでいるので、意外や意外、案ずるより生むが易し、「思い切って蓋を開けてみたら何とかなっちゃった!」という展開もあり得なくはありません。(ご利用は計画的に)

燃料価格が高騰したり下落したりの燃料代シミュレーション

現代の社会というものは地から湧き出る油により支配されており、油そのものの価格の高騰と下落、為替の値動き(円安と円高)など、その時々の世界情勢に応じて価格が変動するたびに右往左往させられます。

ここ最近は原油高+円安という、爪に火を点しながら生活している庶民にとっては最も好ましくないシチュエーションの真っ只中にあり、「なんとかなれーッ!なんとかなれーッ!」と祈りながら日々を過ごしている人も少なくないことでしょう。

というわけで、原油安+円高の時勢を夢見て将来の皮算用をする、あるいは原油高+円安に備えて無欲を極めるなどするために、ハイオクガソリン1リットルあたり195円を基準として、-50円となる145円から、+50円となる245円の間で変化した場合の10000km走行燃料代を、燃費12.0km/Lとしてシミュレーションしてみました。

燃料価格/L10000km燃料代
[差額]
-50円
145円/L
120850円
[-41650円]
-25円
170円/L
141680円
[-20820円]
-10円
185円/L
154180円
[-8320円]
195円/L162500円
[0円]
+10円
205円/L
170850円
[+8350円]
+25円
220円/L
183350円
[+20850円]
+50円
245円/L
204190円
[+41690円]

燃費12.0km/LのKWH5F型 カングーで10000km走行するのに必要な燃料は833.4L、1リットルあたり195円としたときの燃料代は162500円になります。

参考までに、カングーの燃料タンクは56リットルですので、833.4Lの給油回数は15回、1回あたりの燃料代は約10840円です。

ここから10円安く、あるいは高くなった場合、燃料代としては8350円の上下となり、(差額だけで見れば)まだどうにかなる範囲です。が、もしこれが25円になると20850円、50円も違ってくると41690円にもなります。

これをKWH5F型 カングーの年間維持費に当てはめてみますと、ハイオクガソリン1リットルあたり195円の場合を291200円としたとき、145円/Lに値下がりすれば249550円(85.7%)に、245円/Lに値上がりすれば332890円(114.3%)になる計算です。

安くなるものについては自動車税(30500円)なり重量税(12300円)なりの税金、各種消耗品の交換整備に充当することもできますが、問題は高くなった場合です。

ただでさえ燃料代が嵩んでいるのに(ガソリンの半分は税金でできています)、原油が高くなればエンジン、ミッション等の油脂類、タイヤ代も当然値上げ、さらに上乗せできっちり徴税されるのですから、まったくもって自動車の維持費は青天井です。

税金の安さは折り紙付き!
バン・トラックの人気車種ランキング!


低走行距離での年間維持費|3000km・5000km・7000km

せっかくのマイカーを前にして、あまりにも涙ぐましい経費削減は気の引けるものですが、しかし先行き不安なこのご時世では背に腹はかえられないのもまた事実です。

走行距離が少なくなればガソリン代は目に見えて削減されますし、タイヤは摩耗が減って長持ち、オイル交換も年1回になってお財布もニッコリ…いうわけで、ここでは年間走行距離を3000km・5000km・7000kmとしたときの年間維持費をシミュレートしてみます。

1年分の自動車税・重量税・自賠責保険料
名目 金額
自動車税 30500円
自動車重量税 1年分 12300円
自賠責保険料 1年分 8825円
合計 51625円

※現在の税制では、自動車税、自動車重量税、自賠責保険料は走行距離に関係なく税額・保険料は一律。走行距離税が新設された場合は大幅に変わる可能性あり。


年間3000km走行の場合
名目 金額 比率
税金・自賠責 51625円 33%
燃料代 3000km分 48750円 31%
オイル交換 年1回 4500円 3%
タイヤ交換 6年毎 5330円 3%
任意保険料 80% 48000円 30%
合計
[1万kmとの差額]
158300円
-132900円
-
年間5000km走行の場合
名目 金額 比率
税金・自賠責 51625円 27%
燃料代 5000km分 81250円 42%
オイル交換 年1回 4500円 2%
タイヤ交換 6年毎 5330円 3%
任意保険料 85% 51000円 26%
合計
[1万kmとの差額]
193800円
-97400円
-
年間7000km走行の場合
名目 金額 比率
税金・自賠責 51625円 22%
燃料代 7000km分 113750円 49%
オイル交換 年1回 6300円 3%
タイヤ交換 6年毎 5330円 2%
任意保険料 90% 54000円 24%
合計
[1万kmとの差額]
231100円
-60100円
-

自動車税、重量税、自賠責保険については、走行距離がどうであろうと変わりませんが、ガソリン代は走行距離に応じた分だけ削減、オイル交換は年間3000km走行と5000km走行は年1回、7000km走行は1回分+αの金額としています。

タイヤ交換費用については、スリップサインまで50000km程度持つものとして走行距離に応じて按分(ただし最大6年で交換とする)、任意保険料については、年間3000km走行は10000km走行での保険料60000円の80%、年間5000km走行は85%、年間7000km走行は90%の金額に割引されるものとして計算しました。

年間3000km走行では、10000km走行に比べて132900円安い158300円に、5000km走行では97400円安い193800円に、7000km走行では60100円安い231100円という結果になりました。

多走行距離での年間維持費|15000km・20000km

続いて年間で10000kmを超える多走行の場合、15000kmと20000kmを例として計算してみます。ガソリン代は走行距離に応じて増額、オイル交換費用はそれぞれ年3回分と年4回分、タイヤ交換費用は走行距離に応じて按分、任意保険料は15000kmは1.1倍、20000kmは1.2倍としたのがこちらです。

年間10000km走行の場合
名目 金額 比率
税金・自賠責 51625円 17%
燃料代 10000km分 162500円 56%
オイル交換 年2回 9000円 3%
タイヤ交換 5年毎 8000円 3%
任意保険料 100% 60000円 21%
合計
[1万kmとの差額]
291200円
-
-
年間15000km走行の場合
名目 金額 比率
税金・自賠責 51625円 13%
燃料代 15000km分 243750円 63%
オイル交換 年3回 13500円 4%
タイヤ交換 3年毎 9600円 2%
任意保険料 110% 66000円 18%
合計
[1万kmとの差額]
384500円
+93300円
-
年間20000km走行の場合
名目 金額 比率
税金・自賠責 51625円 11%
燃料代 20000km分 325000円 68%
オイル交換 年4回 18000円 4%
タイヤ交換 3年毎 12800円 3%
任意保険料 120% 72000円 14%
合計
[1万kmとの差額]
479500円
+188300円
-
走行距離と維持費の変化

自動車関連費用は家計に多大なるダメージを与えてきますから、不要不急の外出を控えたり、今流行の走行距離に応じて保険料が変わる任意保険を選んだり、1円でも安いガソリンスタンドを探したり、グレードの低いオイルやタイヤでお茶を濁したり…と、あの手この手で工夫して耐え忍びましょう。

「しかし物には限度がある、数年単位の維持費を考えると気が滅入る、だが車は必要だ、背に腹は代えられぬ…」というときは、排気量が小さくて燃費が良くて、車両重量の軽い車に乗りかえるという選択をしますと、各種税金や保険料、車検費用などなどトータルの維持費が格段に抑えられお財布もニッコニコです。

年間維持費ランキング リスト
輸入車・外車の小型車&普通車編
1500cc以下クラス編
小型車&普通車の新車編
5人乗りミニバン編

カングーの燃料タンクと燃費と航続距離と

燃料タンクと燃費と航続距離と
JC08モード燃費 12.9km/L
燃料タンク容量 56L
航続距離(カタログ燃費) 722.4km
航続距離(80%燃費) 576.8km
満タンプライス 10920円
1km走行コスト 15.12円/km
1万円でどこまで行ける? 661.5km
東京から722.4kmの範囲

JC08モード燃費が12.9km/L、燃料タンク容量56リットルとすると、カタログ燃費の通りに走行できれば航続可能距離は722.4kmです。

実際にはそうもいきませんから、オイル交換やタイヤ空気圧の管理といった定期メンテナンスを確実に実施した上での実燃費をカタログ燃費の90%(11.6km/L)とすると航続距離は649.6km、80%(10.3km/L)だと576.8km、70%(9.0km/L)では504.0kmになります。

燃料タンクに1滴の燃料もない状態から56リットルきっちり満タンにしたときの金額を計算してみますと、ハイオクガソリンを1リットルあたり195円では10920円、上で計算した航続距離を踏まえると722.4km(80%燃費時576.8km)を走行するのに10920円かかる計算です。

燃費を12.0km/Lとしたときの1km走行コストは15.12円、10万km走行したときの燃料代は151.2万円です。この金額は燃費と使用燃料(レギュラー・ハイオク・軽油など)の単価により変動します。10年10万kmなら15.1万円/年、7年10万kmなら21.6万円/年、5年10万kmなら30.2万円/年、3年10万kmなら50.4万円/年となります。

ついでに1万円の燃料代でどこまで行けるかも計算してみますと、カタログ通りの燃費で走行できれば661.5km(往復なら片道330.8km)、カタログ値の80%なら529.2km(片道264.6km)離れたところまで行くことができます。

KWH5F カングーのエンジン諸元とカタログデータ

H5F型エンジン簡易性能曲線図
エンジン諸元
原動機型式 H5F
気筒配列 直列4気筒
排気量1197cc
圧縮比 -
吸気方式 ターボ
最高出力 114PS[84kW]/4500rpm
最大トルク 19.4kgm[190Nm]/1750rpm
パワーバンド 1750-4500rpm, 帯域61.1%
使用燃料 ハイオクガソリン
JC08燃費12.9km/L(30.3mpg)
100km燃費7.8L/100km
最高出力・最大トルク 各回転数での出力
1750rpm 47PS/19.4kgm
4500rpm 114PS/18.1kgm
H5F型エンジンの諸元と性能まとめ
直列4気筒とは‥シリンダを真っ直ぐ一列に4個配置する方式。小排気量から2.5Lあたりまでをカバー。
直列4気筒の最高出力ランキング

まずおさらいとして、搭載しているH5F型1197cc、直列4気筒のターボエンジンは4500回転時に最高出力114馬力を、1750回転時に最大トルク19.4kgmを発生します。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力が計算できますので、それぞれの点と点とを線で繋いでパワーカーブとトルクカーブのエンジン性能曲線図もどきを作ってみました。

トルクの山が中央より左にあるか右にあるかを基準にしてエンジン特性を探ってみますと、アイドリングとそれほど変わらないような回転数から最大トルクが発生するこのエンジンは、坂道発進も平気の平左、MT車でもエンスト知らず、扱いやすさにかけては右に出るものがありません。ディーゼル車やダウンサイジングターボに多くあります。

※実際のところは車両重量やギヤ比、排気量に対する気筒数の多少によって印象が異なります。

ちなみに、エンジンのパワーバンドを「最大トルクが発生する1750rpmから最高出力が発生する4500rpmまで」の2750rpmとしたときの、最高回転数に対するパワーバンドの割合は61.1%となります。※簡易エンジン性能曲線図オレンジ色の帯域。

最高出力ランキング リスト
1500cc以下クラス編
輸入車・外車の小型車&普通車編
最大トルク ランキング リスト
1500cc以下クラス編
輸入車・外車の小型車&普通車編

うわっ…私の体重、重すぎ…?

さて、車の速さを知るための指標としてよく使われる パワーウェイトレシオ12.719kg/PS(1450kg/114PS)となっていますが、巷でよく見るであろうこの数値の多くはドライバーが乗った状態でのものではなく、あくまでも車両重量と最高出力のみで計算したものです。

車重と搭乗者とPWR
車体のみ12.719kg/PS
車体+1人13.202kg/PS
車体+5人15.132kg/PS
お腹と車重とPWR
車体+60kg13.246kg/PS
車体+70kg13.333kg/PS
車体+80kg13.421kg/PS
車体+90kg13.509kg/PS
車体+100kg13.596kg/PS

というわけで、車両総重量の求め方に倣い人間の体重55kgを加えて計算し直してみますと、ドライバーのみが搭乗したときのパワーウェイトレシオは13.202kg/PS(1505kg/114PS)となり、数値としては0.483kg、比率にすると3.8%ほど悪化します。

次に乗車定員いっぱいの5人が搭乗した場合、車両重量に275kgがプラスされてパワーウェイトレシオは15.132kg/PS(1725kg/114PS)となり、数値としては2.413kg、比率にすると19.0%も悪化することになります。

もともとが重量級の車であれば、人が少々乗ったところで体重の占める割合が小さいことから変化も小さいですが、軽量級の車ではお腹まわりのお肉が大きな影響力を持つことがわかります。

KWH5F カングーのライバル候補車たち

車両重量にドライバーの体重を加えますと、過去に見てきたパワーウェイトレシオ界隈の様相も変わってくることがわかりましたので、ここでは余興としてドライバー込みのパワーウェイトレシオ13.202kg/PSと近い数値を持つ車種をいくつかピックアップしてみます。

愛すべきライバル車種
Page Link車名 PWR+55kg

-
カングー
13.202kg/PS
114PS・1.2L-TB
車体のみPWR 12.719
1505kg
+3.8%

車種詳細
デリカD:5
13.074kg/PS
148PS・2.3L-TB
車体のみPWR 12.703
1935kg
+2.9%

車種詳細
フリード
13.227kg/PS
110PS・1.5L-NA
車体のみPWR 12.727
1455kg
+3.9%

車種詳細
ハイエース ワゴン
13.094kg/PS
160PS・2.7L-NA
車体のみPWR 12.750
2095kg
+2.7%

車種詳細
シエンタ
13.095kg/PS
105PS・1.5L-NA
車体のみPWR 12.571
1375kg
+4.2%

車種詳細
ランドクルーザー プラド
13.098kg/PS
163PS・2.7L-NA
車体のみPWR 12.761
2135kg
+2.6%


13.070kg/PSから13.334kg/PSの範囲で人気度を優先して選んでみたところ、三菱の7人乗りミニバン・CV1W型 デリカD:5、ホンダの6人乗りミニバン・GB7型 フリード、トヨタの10人乗り1BOX・TRH224W型 ハイエース ワゴン、トヨタの7人乗りミニバン・NCP85G型 シエンタ、トヨタの7人乗りSUV・TRJ150W型 ランドクルーザー プラドという顔ぶれが並びました。

最高出力が高いからといって、車両重量が重ければパワーウェイトレシオの数値は似たようなものになったりします。「空車状態のPWRの違いが、戦力の決定的差ではないということを…教えてやる!」といったところでしょうか。

こうなると、思いもよらぬ車種の登場に「えっ!あの車がライバル!?(大歓喜)」だったり、あるいは「えっ…あの車がライバル…?(大号泣)」だったり悲喜こもごも生じることもありましょうが、数値の上では「良き隣人」ということになります。

KWH5F型 カングー [Zen]のライバル車種|13.202kg/PS

ちなみに、日本では Power Weight Ratio(1馬力あたりが担う重量)が自動車の加速性能を推測する指標としてよく用いられますが、海外では Power to Weight Ratio(車両重量1トンあたりの出力)という指標が重用され、こちらの数値は78.6PS/tとなっています。


カングーがバイクと競争するなら…?


車種詳細
ヴェクスター150|152cc
13.154kg/PS
171kg/13.0PS/1.30kgm
[車体のみPWR:8.923]
1速ギヤ速度:31.9km/h
最小TWR:1.006
2021/04

-
カングー|1197cc
13.202kg/PS
1505kg/114PS/19.4kgm
[車体のみPWR:12.719]
1速ギヤ速度:31.7km/h
最小TWR:1.395

車種詳細
マジェスティS|155cc
13.333kg/PS
200kg/15.0PS/1.40kgm
[車体のみPWR:9.667]
1速ギヤ速度:33.2km/h
最小TWR:1.216

幸か不幸か、自動車に魅入られてしまった人はバイクにも並々ならぬ興味があったりします。バイクという乗り物は往々にして、見るからに速そうならきっちりと速いもので、高回転高出力のエンジンと超軽量な車体を武器に、目にも留まらぬ速さで点になります。

などと、酸いも甘いも噛み分けすぎて達観したようなことを言っても人生つまりませんので、ここではカングーとパワーウェイトレシオが近いバイクを探して、ああでもない、こうでもないを楽しみましょう。

CG42A ヴェクスター150と競争してみる

まずカングーより少しPWRが低いバイクとして、スズキのヴェクスター150が挙げられます。PWRの13.154kg/PSは車両重量116kgにライダーの体重55kgを加えた171kgを、最高出力13.0PSで割ったものです。

自動車であれバイクであれ、最も鋭い加速を見せるのは、最も低いギヤ比(変速比)のときですので、各々の1速ギヤ最高速と、1速ギヤかつ最大トルク発生時のトルクウェイトレシオを比べてみますと、1速ギヤ最高速はヴェクスター150に0.2km/h劣り、1速TWRは0.389kg劣る、という結果になりました。※1速TWRは車体のみの数値(今後の課題)

SG28J マジェスティSと競争してみる

続いて少しPWRが高いバイクとしては、ヤマハのマジェスティSが挙げられます。PWRの13.333kg/PSは車両重量145kg+55kgの200kgを、最高出力15.0PSで割ったものです。こちらも同様に比べてみますと、1速ギヤ最高速は1.5km/h劣り、1速TWRは0.179kg劣る、という結果になりました。


その他の諸元いろいろ

いろいろな数値
WB/TR比 1.767
平均ピストンスピード 10.96m/s
トルクウェイトレシオ 74.74kg/kgm
1馬力あたりのお値段 23219円
排気量1Lあたり馬力 95.24PS/L
排気量1Lあたりトルク 16.21kgm/L
1気筒あたりの馬力 28.5PS
1気筒あたりのトルク 4.8kgm
パワーバンド比率 61.1%
燃費×馬力 1368.0pt
各種ランキング
トールワゴンのPWR
1.0~1.3L以下のPWR

トルクウェイトレシオは74.74kg/kgm(1450kg/19.4kgm)なのですが、トルクについてはギヤ比でどうにでもなりますので、ここでの大小はあまり重要ではありません。(詳しくはギヤ比編にて)

ついでに馬力単価を計算してみると、お値段が2647000円、最高出力が114馬力であるこの車の場合、1馬力あたりのお値段は23219円、逆に1万円あたりでは0.43馬力を得ることができます。ついでのついででトルク1kgmあたりのお値段は136443円、1万円あたりでは0.07kgmとなります。

1馬力あたりのお値段が安い車ランキング
総合ランキング
輸入車編
1500cc以下の車編
5人乗りミニバン編

●最高出力を排気量で割ったリッター換算馬力は95.24PS/L、トルクは16.21kgm/L、1気筒あたりの馬力は28.5馬力、トルクは4.8kgmとなり、このエンジンが114馬力を4500回転で発生させているときの平均ピストンスピードは10.96m/sです。
排気量1リットルあたりの馬力ランキング

ちなみに、ストローク量が73.1mmであるH5F型エンジンの場合、平均ピストンスピードの上限を20.0m/sとしたときの高回転化の上限は8210回転です。設定されているレブリミットがこの回転数を超えている場合、長年に亘って平均ピストンスピードの目安とされてきた20.0m/sを超えてピストンが往復運動していることになります。レブリミットがこの回転数以下の場合は高回転化してパワーを引き出すチューニングの目安になるかもしれません。
平均ピストンスピードが速い車ランキング

●この車のホイールベースを前後トレッドの平均で割って算出されるホイールベーストレッド比は1.767になります。全ての車種の平均値である1.773を基準にざっくりと分類すると、走ってよし、曲がってよしで至れり尽くせりのオールラウンダーであると言えそうです。
ホイールベーストレッド比が小さい車ランキング

●低燃費かつ高出力な車を調べるための指標として「燃費×最高出力」の数値を用いる場合、燃費が12.00km/L、最高出力が114PSであるこの車の獲得ポイントは1368.0ptになります。
戯れに車両重量1450kgを100kg単位にした14.5で割ってみたところ、その数値は94.34ptとなりました。(燃費が良くてパワーがあって速い車を探すのに使えるかも?)


KWH5F カングーのギヤ比と回転数・速度のステキな関係

続いてギヤ比を見てみます。あるギヤで走行中にエンジン(正確にはクランクシャフト)をレブリミットまで回したときの速度と、レブリミットでシフトアップした後の回転数を計算するためには、何回転で回転リミッターが働くのかを知らねばなりません。

しかし具体的な数値を知るにはECU(エンジン・コントロール・ユニット)にあるデータを参照しなければならなかったりで実現は厳しく、ならばとレッドゾーンが始まる回転数から推測しようにも、最近ではタコメータが装着されていない車両が多くあって心が折れます。

ピークパワーが発生する回転数(この車の場合4500rpm)から必要以上に回してもあまり意味はないのでそれを上限としても良いのですが、気分よく運転しているときは往々にして回しすぎるのが常ですから、ここでは500回転をプラスした5000回転を仮のレブリミットとして計算してみます。

暫定レブ 5000rpm|タイヤサイズ 195/65R15|タイヤ直径 63.5cm|円周長 199.5cm
ギヤ ギヤ比 総減速比 ステップ比 シフトアップ
後の回転数
5000rpm
の速度
100kmh
の回転数
タイヤの
最大駆動力
1速 4.307 17.01 - - 35km/h 14210rpm 1039.5kgm
2速 2.476 9.78 0.575 1-2/
2880rpm
61km/h 8170rpm 597.6kgm
3速 1.607 6.35 0.649 2-3/
3250rpm
94km/h 5300rpm 387.9kgm
4速 1.132 4.47 0.704 3-4/
3520rpm
134km/h 3740rpm 273.2kgm
5速 0.844 3.33 0.746 4-5/
3730rpm
180km/h 2790rpm 203.7kgm
6速 0.653 2.58 0.774 5-6/
3870rpm
232km/h 2150rpm 157.6kgm
Final3.950レシオカバレッジ(変速比幅)6.596
  • ステップ比(歯車比)とは隣接したギヤ同士の離れ具合を示した数値で、1.000に近いほどシフト操作後の回転数の変化が小さく(ギヤ同士の繋がりが良い)、離れるほど変化が大きく(繋がりが悪い)なることを表します。
  • シフトアップでは現在の回転数にステップ比を乗じた回転数まで下がり、シフトダウンでは現在の回転数にステップ比を除した回転数まで上がります。
  • 赤い数字はシフトアップ後にパワーバンドの下限(最大トルク発生回転数1750rpm)を下回るもの。
  • 時速100kmでの回転数は100km/h÷60÷タイヤ円周長×各ギヤ比×ファイナルギヤ比(3.950)で算出。
  • タイヤの最大駆動力は最大トルク(19.4kgm)×各ギヤ比×ファイナルギヤ比(3.950)÷タイヤの有効半径(0.3175m)で算出。
    ただし、ATおよびCVTにあるトルクコンバーターでのトルク増幅効果は考慮できていません。

本来のレブリミットとは異なるので最高速の数値は前後しますが、上記の設定での最高速度は6速ギヤの232km(4500rpmでは208.8km/h)となります。この速度は空気抵抗、パワー不足、スピードリミッターなどネガティブ要素の一切を無視して、単にギヤ比とエンジン回転数、タイヤサイズだけで計算した速度です。

タイヤの最大駆動力にある数値は、エンジンが1750回転で最大トルク19.4kgmを発生しているとき、各々のギヤを介したのち実際にタイヤへと伝えられるトルクで、この数値が大きいほどタイヤを回そうとする力が大きく、より力強い加速をすることができます。

この数値を大きくするにはギヤ比を低く(加速重視・ローギヤード)する、タイヤを小径化する、エンジンの最大トルクを大きくするという方法があります。逆にギヤ比を高く(最高速重視・ハイギヤード)したり、タイヤを大径化したり、デチューンして非力にすると駆動トルクは小さくなって加速が鈍ります。


さて、世の中にはパワーウェイトレシオ(1馬力が担う重量・PWR)に似ているようで少し違うトルクウェイトレシオ(1kgmが担う重量・TWR)という指標があります。単純に車両重量を最大トルクで割れば74.74kg/kgmですから、パワーウェイトレシオ(12.719kg/ps)に比べると霞んで見えます。

しかしトルクはギヤを介することで増幅され、たとえば1速ギヤの場合ですと1039.5kgmになります。これを踏まえて改めて車両重量(1450kg)を1速ギヤの最大駆動力(1039.5kgm)で割ってみると1.395kg/kgmとなり、今度は逆にPWRが霞んで見えるような数値が出てきます。最高出力が発生する4500回転でのトルク(18.1kgm)からTWRを算出すると1.495kg/kgmとなり、1750-4500回転の回転域では1.395-1.495kg/kgmの間で推移することがわかります。


4500rpmでシフトアップする場合の各ギヤ速度

KWH5F型カングーに搭載されたH5F型1197ccエンジンのレブリミットを、最高出力が発生する4500rpmとしてシフトアップするときの速度をシミュレートしてみます。

4500rpmでの速度とシフトアップ後の回転数
ギヤ速度回転数
1速ギヤ32km/h-
2速ギヤ55km/h2590rpm
3速ギヤ85km/h2920rpm
4速ギヤ120km/h3170rpm
5速ギヤ162km/h3360rpm
6速ギヤ209km/h3480rpm

まず1速ギヤで4500rpmまで引っ張ると32km/hまで加速し、2速ギヤにシフトアップすると回転数は4500rpmから2590rpmまで落ち、そこから4500rpmまで加速を続けると速度は55km/h(+23km/h)になります。

3速ギヤでは2920rpmまで落ちて4500rpmで85km/h(+30km/h)に、4速ギヤでは3170rpmまで落ちて4500rpmで120km/h(+35km/h)になります。

続いて5速ギヤでは3360rpmまで落ちて4500rpmで162km/h(+42km/h)に、6速ギヤでは3480rpmまで落ちて4500rpmで209km/h(+47km/h)という具合に加速していくイメージです。

ある速度における各ギヤでの回転数

ギヤ 40
km/h
60
km/h
80
km/h
100
km/h
120
km/h
140
km/h
180
km/h
1速 5690 8530 11370 14210 17060 19900 25580
2速 3270 4900 6540 8170 9800 11440 14710
3速 2120 3180 4240 5300 6360 7420 9550
4速 1490 2240 2990 3740 4480 5230 6720
5速 1110 1670 2230 2790 3340 3900 5010
6速 860 1290 1720 2150 2590 3020 3880
※赤い数字は暫定レブリミット(5000rpm)を上回るもの。

この項目では各々のギヤと速度を基準として、任意のギヤを選択中に時速40km~180kmにて走行するとき、エンジンの回転数がどのくらいになるのかを一覧表にしてみました。この車の場合、最も高いギヤ(0.653)を選択して時速100kmにて走行すると2150回転まで回ります。

ちなみに、一般道の速い流れやバイパスでよくある60km/hでは1290回転、対面通行の高速道路での制限速度70km/hでは1510回転、一般的な高速道路の80km/hでは1720回転、100km/hでは2150回転、制限速度が120km/hになると2590回転になります。小型・普通乗用車の速度リミッターが働く180km/hでは3880回転まで回ります。

一般的な自動車であれば時速100kmでの巡航回転数は2500回転付近に落ち着くようですが、その中でも若干低めの回転数となっています。標準的なギヤ比の範囲内ながらも加速よりも静粛性や燃費に重きを置いた設定なので、急な坂道や長く続く坂道では積極的にギヤを1段下げる操作が必要になるかもしれません。


ある回転数における各ギヤでの速度

ギヤ 1000
rpm
2000
rpm
3000
rpm
4000
rpm
5000
rpm
6000
rpm
7000
rpm
8000
rpm
1速 7 14 21 28 35 42 49 56
2速 12 24 37 49 61 73 86 98
3速 19 38 57 75 94 113 132 151
4速 27 54 80 107 134 161 187 214
5速 36 72 108 144 180 215 251 287
6速 46 93 139 186 232 278 325 371

この項目では各々のギヤとエンジンの回転数を基準として、任意のギヤを選択中にエンジンを1000回転刻みで8000回転まで回したとき、それぞれのギヤでどのくらいの速度が出ているのかを一覧表にしてみました。暫定レブリミット(5000回転)よりも回転数が高くなる欄の速度については赤文字で表記してあります。

純正装着タイヤの195/65R15と互換可能な車検対応サイズ|簡易版

下の表では純正サイズを基準としてタイヤ幅を-20mmから+20mm、扁平率を-5%から+5%まで変化させたときのスピードメータ誤差が、マイナス方向を水色、-5.0%から+2.0%までを緑色、+6.0%までを橙色に着色しています。

※ここではタイヤの直径(外径)のみを基準としています。タイヤの幅を広くしすぎてサスペンションと干渉したり、はみ出てしまって車検に通らないからとフェンダーを叩いたり引っ張ったりキャンバーを付けたりで四苦八苦、ホイール幅が狭すぎてなんかイマイチ…という事例もありますので、ホイールのオフセットとリム幅にはご注意ください。

純正タイヤ 195/65R15 | 直径 635mm

-20mm
幅175mm
-10mm
幅185mm
変更なし
幅195mm
+10mm
幅205mm
+20mm
幅215mm
60 175/60R15
37.2km/h
径 591mm
差 -44mm
185/60R15
38.0km/h
径 603mm
差 -32mm
195/60R15
38.7km/h
径 615mm
差 -20mm
205/60R15
39.5km/h
径 627mm
差 -8mm
215/60R15
40.3km/h
径 639mm
差 +4mm
65 175/65R15
38.4km/h
径 609mm
差 -26mm
185/65R15
39.2km/h
径 622mm
差 -13mm
195/65R15
40.0km/h
635mm
0mm
205/65R15
40.8km/h
径 648mm
差 +13mm
215/65R15
41.6km/h
径 661mm
差 +26mm
70 175/70R15
39.4km/h
径 626mm
差 -9mm
185/70R15
40.3km/h
径 640mm
差 +5mm
195/70R15
41.2km/h
径 654mm
差 +19mm
205/70R15
42.1km/h
径 668mm
差 +33mm
215/70R15
43.0km/h
径 682mm
差 +47mm
75 175/75R15
40.6km/h
径 644mm
差 +9mm
185/75R15
41.5km/h
径 659mm
差 +24mm
195/75R15
42.5km/h
径 674mm
差 +39mm
205/75R15
43.4km/h
径 689mm
差 +54mm
215/75R15
44.3km/h
径 704mm
差 +69mm

もし上記表の中から車検に安心なタイヤを選ぶのであれば、メーター誤差が-5.0%から0%の間にあって車高への影響も少ない 、175/65R15、175/70R15 、185/60R15、185/65R15 、195/60R15 、205/60R15 あたりのタイヤがおすすめです。

195/65R15のタイヤ幅を175mmから225mmまで、扁平率を50%から80%までの範囲に拡大した適合タイヤの一覧表および、100km/h回転数、加速力と最高速の変化、走行距離計の誤差による実燃費とのズレについては、195/65R15の適応サイズと性能の変化 [KWH5F型カングー編]のページをご覧ください。

純正のホイールサイズから大径化したり、幅の広いタイヤ、扁平率の低いタイヤに交換しようとするとタイヤ代が高くなる傾向にありますので、少しでも維持費を抑えたい、今はお財布の中身が心許ないといった際にはタイヤ通販をご利用ください。
【PR】195/65R15のタイヤ銘柄と通販価格

KWH5F型 カングー 1.2Lターボ FF/6ATの通知表

ここではこのページを締めくくる集大成として、パワーウェイトレシオや1速ギヤでの加速性能、排気量1Lあたりの出力、ホイールベーストレッド比からなるスポーツ性能部門と、時速100kmでの巡航回転数、燃費、車体の大きさ、室内の広さからなるユーティリティ部門とに大別し、このサイトで登録している全車種の平均値から偏差値を求めて優劣を比較してみます。

運動性能部門 10項目
評価項目全車種平均数値得点評価
PWR9.78㎏/PS12.72㎏/PS42.0ptD
最高回転数5881rpm4500rpm33.0ptE
1速ギヤ
加速性能
1.58㎏/㎏m1.40㎏/㎏m53.8ptC
1速ギヤ
最高速
51.1㎞/h31.7㎞/h32.2ptE
1リットル
換算馬力
103.35PS/L95.24PS/L47.1ptC
1リットル
換算トルク
15.98㎏m/L16.21㎏m/L50.7ptC
WB/TR比1.7731.76750.6ptC
ワイド&
ロー指数
0.8940.98943.2ptD
前面の面積2.631m23.312m230.9ptE
最低地上高154.5mm170mm43.7ptD
スポーツ性能部門の得点423.3pt
総合評価E

※PWR(パワーウェイトレシオ)・1速ギヤ加速性能・ホイールベーストレッド比(旋回性能重視)・ワイド&ロー指数(見た目のかっこよさ)・前面の面積(≒前方投影面積・空気抵抗)・最低地上高については数値が小さいほど高得点。最高回転数・1速ギヤ最高速・1リットル換算馬力・1リットル換算トルクについては数値が大きいほど高得点。

ユーティリティ部門 10項目
評価項目全車種平均数値得点評価
年間維持費335944円291200円54.0ptB
JC08燃費17.7km/L12.9km/L42.5ptD
100km/h
回転数
2490rpm2160rpm54.4ptB
航続距離643.9km671.8km51.6ptC
車の大きさ11.466m314.177m339.3ptD
車内の広さ3430.7L-46.6ptC
乗車定員4.8人5人51.7ptC
1人あたり
車内広さ
691.7L-44.2ptD
車内床面積2.793m2-46.0ptC
最小回転
半径
5.17m5.4m45.3ptD
ユーティリティ部門の得点475.6pt
総合評価D

※JC08燃費・航続距離(燃費×燃料タンク容量)・室内の広さ(室内長×室内幅×室内高)・乗車定員・1人あたりの車内の広さは数値が大きいほど高得点、新車価格・年間維持費・100km/h回転数・車の大きさ(全長×全幅×全高)・最小回転半径は数値が小さいほど高得点。

結果発表!
部門 全10700車種中 RANK
運動性能 423.3pt 9907位 E
運動性能部門 ランキング
ユーティリティ 475.6pt 6796位 D
ユーティリティ部門 ランキング
総合得点 898.9pt 9904位 E
総合得点ランキング

スポーツ性能部門は423.3点で全10700車種中の9907位、ユーティリティ部門は475.6点で6796位、総合得点は898.9点で9904位となりました。各部門、獲得点数が多い車種から順番に並べたランキングを用意してありますのでご覧ください。

上記リンク先では、今回このページで紹介したKWH5F型 カングー(FF/6AT) の各種スペックを、トールワゴン1500ccという属性で評価したとき、それぞれの項目が相対的にどのくらい優れているか、劣っているかを比較してみました。基準が変わると手のひらを返したように評価も変わる様子をご堪能ください。

カングーの歴代モデル

3代目 KFKH5H型 カングー
KFKH5H カングーは2023/03に登場した3代目モデル。参考車両の「Zen」は全長4490mm、全幅1860mm、全高1810mmの車体に、131PS/24.5kgmを発生するH5H型1333ccエンジンを搭載した5人乗りミニバン。

2代目 KWH5F型 カングー
KWH5F カングーは2009/09に登場した2代目モデル。参考車両の「Zen」は全長4280mm、全幅1830mm、全高1810mmの車体に、115PS/19.4kgmを発生するH5F型1197ccエンジンを搭載した5人乗りミニバン。

初代 KCK7J型 カングー
KCK7J カングーは2002/03に登場した初代モデル。参考車両の「1.4」は全長3995mm、全幅1675mm、全高1810mmの車体に、75PS/11.9kgmを発生するK7J型1389ccエンジンを搭載した5人乗りミニバン。


人気があるミニバンの車種比較


RP6 ステップワゴン 2022 vs MZRA90W ノア 2022 性能比較
6代目 ステップワゴン AIR(2022年式 RP6・FF/CVT・1.5L+ターボ・150PS/20.7kgm・8人乗り)と、4代目 ノア X 8人乗り(2022年式 MZRA90W・FF/CVT・2.0L・170PS/20.6kgm・8人乗り)を比較。

ZWR90W ノア ハイブリッド 2022 vs MZRA90W ノア 2022 性能比較
4代目 ノア ハイブリッド X 8人乗り(2022年式 ZWR90W・FF/CVT・1.8L・98PS/14.5kgm・8人乗り)と、4代目 ノア X 8人乗り(2022年式 MZRA90W・FF/CVT・2.0L・170PS/20.6kgm・8人乗り)を比較。

RP8 ステップワゴン e:HEV 2022 vs ZWR90W ノア ハイブリッド 2022 性能比較
6代目 ステップワゴン e:HEV AIR(2022年式 RP8・FF/CVT・2.0L・145PS/17.8kgm・8人乗り)と、4代目 ノア ハイブリッド X 8人乗り(2022年式 ZWR90W・FF/CVT・1.8L・98PS/14.5kgm・8人乗り)を比較。

B38A デリカ ミニ 2023 vs CV1W デリカD:5 2019 性能比較
初代 デリカ ミニ T(2023年式 B38A・4WD/CVT・0.66L+ターボ・64PS/10.2kgm・4人乗り)と、5代目 デリカD:5 M(2019年式 CV1W・4WD/8AT・2.3L+ターボ・145PS/38.7kgm・8人乗り)を比較。

MZRA90W ノア 2022 vs C28 セレナ 2022 性能比較
4代目 ノア X 8人乗り(2022年式 MZRA90W・FF/CVT・2.0L・170PS/20.6kgm・8人乗り)と、6代目 セレナ X(2022年式 C28・FF/CVT・2.0L・150PS/20.4kgm・8人乗り)を比較。

S231G アトレー7 2004 vs U66W タウンボックス ワイド 2000 性能比較
4代目 アトレー7 X Low-Roof(2004年式 S231G・4WD/4AT・1.3L・92PS/12.7kgm・7人乗り)と、初代 タウンボックス ワイド(2000年式 U66W・4WD/4AT・1.1L・75PS/10.2kgm・6人乗り)を比較。

GT1 フリード 2024 vs MXPC10G シエンタ 2022 性能比較
3代目 フリード AIR EX(2024年式 GT1・FF/CVT・1.5L・118PS/14.5kgm・7人乗り)と、3代目 シエンタ X(2022年式 MXPC10G・FF/CVT・1.5L・120PS/14.8kgm・7人乗り)を比較。

S231G アトレー7 2004 vs S230G アトレーワゴン 2004 性能比較
4代目 アトレー7 L High-Roof(2004年式 S231G・4WD/5MT・1.3L・92PS/12.7kgm・7人乗り)と、4代目 アトレーワゴン Touring-Turbo Low-Roof(2004年式 S230G・4WD/5MT・0.66L+ターボ・64PS/10.5kgm・4人乗り)を比較。