このページでは、スズキ株式会社の3ドア・4人乗り軽ボンネットバン、3代目のM-CL11V型アルト ワークス WORKS RS/X【1988/09モデル・64PS/7.8kgm・FF/AT車】のカタログスペックを基に、税金と年間維持費、車検費用の目安の算出、主要諸元から推測される走行性能のインプレ評価およびレビュー、並びにタイヤサイズ変更のシミュレーションをしています。
CL11V アルト ワークス 販売期間:1988/09 - 1994/11 ![]() |
ボディサイズが全長3195mm×全幅1395mm×全高1375mm、排気量は547ccであることから、排気量でざっくりと分ける乗用車的な分類をすると軽自動車クラスに属しています。
駆動方式にはエンジンを車体の前方に搭載し、前輪のみを駆動する、フロントエンジン・フロントドライブ方式(FF・FWD・前輪駆動とも)を採用しています。この方式はエンジンと駆動系(ミッション、デフ等)の収納がエンジンルーム内で完結するので、軽量コンパクトかつ低コスト化が実現でき、室内を広く作りやすい(エンジンが横置きの場合)ほか、後輪駆動車に比べて直進安定性に優れることが主な特長です。
貨物車の区分としては、乗車定員が4名、最大積載量が200kg、車両総重量が950kg、エンジンの排気量が547ccであることから、4ナンバーの軽貨物車(軽トラック・軽バン)に分類され、自動車税は軽貨物車のクラス、重量税は軽貨物車のクラスに該当します。
- 貨物車の人気車種ランキング
バン・トラックに属する車種をアクセス数が多い順に並べています。
さて、貨物車(商用車とも)には貨物車の流儀というものがありまして、「荷物が主、人は従」という絶対的な主従関係が存在しています。もしこの関係が崩れると途端に「乗用車」という道楽品、贅沢品として扱われ、行く先には重い重い税負担が待ち構えます。
貨物室の寸法 | |
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荷室長 | 1020mm |
荷室幅 | 1210mm |
荷室高 | 830mm |
荷室容積 | 1024.4L |
最大積載量 | 200kg |
荷室が広い貨物車ランキング |
貨物車には乗用車で言うところの「室内長・室内幅・室内高」の代わりに「荷室長・荷室幅・荷室高」というものがあり、室内長幅高が乗客のスペースを示すのに対し、荷室長幅高は荷物を載せられるスペースを示しています。
表中の荷室容積1024.4Lとは、荷室長1020mm×荷室幅1210mm×荷室高830mmの数値を掛けたものです。
最大積載量200kgもまた同様で、「アルト ワークスには200kgを超える荷物を載せてはいけません!」と定めてあるものです。これは「車両総重量」と密接に関係しており、この重量を基準に重量税が確定します。乗用車の重量税は乗員数や荷物を考慮しない「車両重量」で決まりますが、貨物車は「車両総重量」で決まる点が異なります。
CL11V型 アルト ワークス [547cc/64PS FF/3AT] お品書き
![]() 維持費にまつわるエトセトラ | ![]() エンジンの最高出力・最大トルク | ![]() ギヤ比と加速・回転数と最高速 | ![]() タイヤサイズ変更とメーター誤差 | ![]() 各種スペックの相対評価と通知表 |
![]() | お金にまつわるエトセトラ 1年間のランニングコスト |
![]() | エンジン性能と特性 パワーウェイトレシオ |
![]() | ギヤ比と加速力& エンジン回転数と最高速 |
![]() | タイヤサイズ変更と スピードメーター誤差 |
![]() | 各種スペックの相対評価と レーダーチャート |
3代目アルト ワークスの類型&他グレード 新着順
- 吸気方式のNAは自然吸気、TBはターボ、SCはスーパーチャージャー、TSはTB+SCの略
- 燃費の文字が赤色のものはレギュラーガソリン、青色のものはハイオクガソリン、緑色のものは軽油を燃料とするエンジンを搭載した車種
年式 画像 | 車両型式 グレード | 出力 燃費 | |
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1988/09![]() |
CM11V型 [WORKS RS/R]0.55L-TB | 4WD/5MT | 105.6万円 |
64PS 7.8kgm 19.4km/L |
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1988/09![]() |
CL11V型 [WORKS RS/X]0.55L-TB | FF/5MT | 95.9万円 |
64PS 7.8kgm 21.4km/L |
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1988/09![]() |
CM11V型 [WORKS S/R SOHC]0.55L-TB | 4WD/5MT | 95.9万円 |
58PS 7.4kgm 19.3km/L |
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3代目アルト ワークスの車両型式・グレード一覧【全15車種】 |
アルト ワークスの新型モデル | |
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![]() | 5代目 HA23V型アルト バン |
HA23V型アルト バンは1998/10に登場した5代目モデル。参考車両の「Vl」は全長3395mm、全幅1475mm、全高1450mmの車体に、54PS/6.4kgmを発生するK6A型658ccエンジンを搭載。 |
アルト ワークスの旧型モデル | |
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![]() | 2代目 CA72V型アルト ワークス |
CA72V型アルト ワークスは1984/09に登場した2代目モデル。参考車両の「WORKS RS-S」は全長3195mm、全幅1395mm、全高1380mmの車体に、64PS/7.3kgmを発生するF5A型543ccエンジンを搭載。 |
主要諸元とエンジン諸元
主要諸元 | |
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メーカー | SUZUKI |
車名& グレード |
アルト ワークス WORKS RS/X |
その他 | AGRS-XO | 4名乗車時 荷室長600mm/荷室幅1210mm/荷室高825mm | 最大積載量100kg | 燃費は60km/h定地走行燃費26.6km/Lに0.7を掛けたもの |
お値段 | 1007000円 |
車両型式 | M-CL11V |
駆動方式 変速機 |
FF・前輪駆動(FWD,2WD) 3速AT・3速オートマ車 |
ドア/定員 | 3ドア/4人 |
車体寸法 | 長3195×幅1395×高1375mm |
軸距& 輪距 |
2335mm 前1225mm/後1200mm |
最小半径 | 4.6m |
最低高 | 140mm |
タイヤ | 前輪:155/65R13 後輪:155/65R13 |
ブレーキ | 前:ディスク 後:ドラム |
車両重量 | 630kg |
エンジン諸元 | |
---|---|
原動機型式 | F5B |
気筒配列 | 直列3気筒 |
排気量 | 547cc |
圧縮比 | 8.0 |
吸気方式 | ターボ |
最高出力 | 64PS[47kW]/7500rpm |
最大トルク | 7.8kgm[76Nm]/4000rpm |
使用燃料 | レギュラーガソリン |
10・15燃費 | 18.6km/L(43.8mpg) |
100km燃費 | 5.4L/100km |
※F5B型エンジンの諸元と性能まとめ ※直列3気筒とは‥シリンダを真っ直ぐ一列に3個配置する方式。小排気量のスタンダード。 ※直列3気筒の最高出力ランキング |
税金と年間維持費のシミュレーション
ここでは、春になると毎年欠かさず支払いを催促される自動車税(6000円)、払わなければ車検を受けさせてもらえない自動車重量税(4100円/年)と自賠責保険料(14280円/年)、年間1万km走行した際に掛かる燃料代、月額4000円の任意保険に加入し、走行5000km毎にエンジンオイル交換、5年5万km毎にタイヤ交換するとしたときの年間維持費(ランニングコスト)を見てみます。
さらに、1988/09モデルのアルト ワークスを35年落ちの中古で22.1万円にて購入し、頭金なしで1年ローンを組んだと仮定したときの年間支払額(金利分は含まず)も踏まえて、上記の維持費と合算した場合の想定維持費も計算してみました。
- 中古車の価格は当該車種の参照年から経過した年数に応じて新車価格の90%から10%の範囲で上下させています。
アルト ワークスの1988/09モデルの場合、2023年現在では13年以上が経過しているため、新車価格の20%である20.14万円に諸経費として2.0万円を足した22.1万円を中古車価格の目安としています。 - ローンの年数については月額5万円の支払いを基準として、ローンの支払額が60万円以下は1年、120万円以下は2年、180万円以下は3年、240万円以上は4年、それ以上は5年としています。
- 任意保険の金額については特に根拠のない一例です。具体的な掛け金は運転者の年齢や家族構成、年間走行距離、保険内容、車両保険の有無等によって大きく異なります。
- 自動車保険は比較で安くなる!
1988年式を35年落ちの中古で買った場合の年間維持費
名目 | 区分 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|
自動車税(1年分) | 軽貨物車 | 13年経過で増税 | 6000円 | |
自動車重量税(1年分) | 1トン以下 | 18年経過で増税 | 4100円 | |
自賠責保険料(1年分) | 軽貨物車 | 14280円 | ||
燃料代(年間1万km) | 10000km÷15.8km/L×165円/L | 104430円 | ||
オイル交換(5000km毎) | 1回3500円×2回 | 7000円 | ||
タイヤ交換(5年5万km毎) | 1本6000円×4本÷5年 | 4800円 | ||
任意保険料(月額4000円) | 月額4000円×12ヶ月 | 48000円 | ||
ローン完済後の年間維持費 | 188610円 | |||
名目 | 区分 | 金額 | ||
車のローン額(1年分) | 月額18460円×12ヶ月 | 221520円 | ||
ローン返済中の年間維持費 | 410130円 | |||
次回車検費用の積み立て目安 | ||||
重量税1年分+自賠責12ヶ月分+検査手数料等3000円程度 | 21380円 |
名目 | 金額 |
---|---|
自動車税(1年分) | 6000円 |
自動車重量税(1年分) | 4100円 |
自賠責保険料(1年分) | 14280円 |
燃料代(年間1万km) | 104430円 |
オイル交換(5000km毎) | 7000円 |
タイヤ交換(4年4万km毎) | 4800円 |
任意保険料(月額4000円) | 48000円 |
ローン完済後の年間維持費 | 188610円 |
名目 | 金額 |
車のローン額(1年分) | 221520円 |
ローン返済中の年間維持費 | 410130円 |
次回車検費用の積み立て目安 | |
重量税1年分+自賠責12ヶ月分 +検査手数料等3000円程度 |
21380円 |
- 初度登録から13年以上経過車の場合、自動車税の区分は「軽貨物車の13年経過で増税」で税額は6000円、重量税の区分は「車両総重量1トン以下の18年経過で増税」で税額は4400円(単年)です。
- エンジンオイル交換の金額は、5000km走行ごとに3500円のオイル交換作業を年2回行うと仮定した場合のもの。
- タイヤ交換の金額は、1本6000円のタイヤ4本を4年周期で交換すると仮定した場合のもの。
- 任意保険料の金額は、月額4000円の保険に加入した場合の12ヶ月分の支払い額。
- 2015年4月1日からの自動車税の割増(10%増→15%増)に対応。
- 2016年4月1日からの自動車重量税の変更に対応。
- 2017年4月1日からの自賠責保険料の改定に対応。
- 2019年10月1日以降に新車登録された自家用乗用車の自動車税額変更に対応。
ただし今流行のエコカー減税(自動車税、自動車重量税等の減免)には対応できていません。 - 燃料消費率が緑文字のWLTCモード燃費はカタログ値の100%を、青文字のJC08モード燃費は93%を、赤文字の10・15モード燃費は85%を実燃費と仮定して計算。
- 車検時には上記の目安金額21,380円の他に法定12ヶ月点検に関連する費用が必要です。
- 名目にある金額の基準は、年間維持費の算出基準まとめ をご覧ください。
アルト ワークス【WORKS RS/X】の場合、維持費の月額は15800円(ローン完済前は34200円)になり、これは今にも壊れそうな格安車、あるいは維持費の安さに全てを懸けたスペシャルマシンから少しステップアップしたクラスになります。
「廉価車にしか乗れなかった自分が、ついにこれだけの維持費が掛かる車を所有できるようになったのだ、新しい自分になれたのだ。あの頃のアタシ、サヨナラ…」とかいう謎のカタルシスに浸りつつ、はるか高みで微笑む理想の自分に近付けるよう自分磨きに邁進しましょう。車としての維持費は安いほうで使い勝手も申し分のない、バランスの取れたクラスです。
低走行距離での年間維持費|3000km・5000km・7000km
せっかくのマイカーを前にして、あまりにも涙ぐましい経費削減は気の引けるものですが、しかし先行き不安なこのご時世では背に腹はかえられないのもまた事実です。
走行距離が少なくなれば燃料代は目に見えて削減されますし、タイヤは摩耗が減って長持ち、オイル交換も年1回になってお財布もニッコリ…いうわけで、ここでは年間走行距離を3000km・5000km・7000kmとしたときの年間維持費をシミュレートしてみます。
年間3000km走行の場合 | ||
---|---|---|
名目 | 金額 | 比率 |
自動車税 | 6000円 | 6% |
自動車重量税 1年分 | 4100円 | 4% |
自賠責保険料 1年分 | 14280円 | 14% |
燃料代 3000km分 | 31330円 | 31% |
オイル交換 年1回 | 3500円 | 3% |
タイヤ交換 6年毎 | 3200円 | 3% |
任意保険料 80% | 38400円 | 39% |
合計 [1万kmとの差額] |
100810円 -87800円 |
- |
年間5000km走行の場合 | ||
---|---|---|
名目 | 金額 | 比率 |
自動車税 | 6000円 | 5% |
自動車重量税 1年分 | 4100円 | 3% |
自賠責保険料 1年分 | 14280円 | 12% |
燃料代 5000km分 | 52220円 | 42% |
オイル交換 年1回 | 3500円 | 3% |
タイヤ交換 6年毎 | 3200円 | 3% |
任意保険料 85% | 40800円 | 32% |
合計 [1万kmとの差額] |
124100円 -64510円 |
- |
年間7000km走行の場合 | ||
---|---|---|
名目 | 金額 | 比率 |
自動車税 | 6000円 | 4% |
自動車重量税 1年分 | 4100円 | 3% |
自賠責保険料 1年分 | 14280円 | 10% |
燃料代 7000km分 | 73100円 | 49% |
オイル交換 年1回 | 4900円 | 3% |
タイヤ交換 6年毎 | 3200円 | 2% |
任意保険料 90% | 43200円 | 29% |
合計 [1万kmとの差額] |
148780円 -39830円 |
- |
自動車税、重量税、自賠責保険については、走行距離がどうであろうと変わりませんが、燃料代は走行距離に応じた分だけ削減、オイル交換は年間3000km走行と5000km走行は年1回、7000km走行は1回分+αの金額としています。
タイヤ交換費用については、スリップサインまで40000km持つものとして走行距離に応じて按分(ただし最大6年で交換とする)、任意保険料については、年間3000km走行は10000km走行での保険料48000円の80%、年間5000km走行は85%、年間7000km走行は90%の金額に割引されるものとして計算しました。
年間3000km走行では、10000km走行に比べて87800円安い100810円に、5000km走行では64510円安い124100円に、7000km走行では39830円安い148780円という結果になりました。
多走行距離での年間維持費|15000km・20000km
続いて年間で10000kmを超える多走行の場合、15000kmと20000kmを例として計算してみます。燃料代は走行距離に応じて増額、オイル交換費用はそれぞれ年3回分と年4回分、タイヤ交換費用は走行距離に応じて按分、任意保険料は10000km時と同額としたのがこちらです。
年間15000km走行の場合 | ||
---|---|---|
名目 | 金額 | 比率 |
自動車税 | 6000円 | 2% |
自動車重量税 1年分 | 4100円 | 2% |
自賠責保険料 1年分 | 14280円 | 6% |
燃料代 15000km分 | 156650円 | 61% |
オイル交換 年3回 | 21000円 | 8% |
タイヤ交換 2.7年毎 | 7200円 | 3% |
任意保険料 100% | 48000円 | 18% |
合計 [1万kmとの差額] |
257230円 +68620円 |
- |
年間20000km走行の場合 | ||
---|---|---|
名目 | 金額 | 比率 |
自動車税 | 6000円 | 2% |
自動車重量税 1年分 | 4100円 | 1% |
自賠責保険料 1年分 | 14280円 | 4% |
燃料代 20000km分 | 208860円 | 66% |
オイル交換 年4回 | 28000円 | 9% |
タイヤ交換 2年毎 | 9600円 | 3% |
任意保険料 100% | 48000円 | 15% |
合計 [1万kmとの差額] |
318840円 +130230円 |
- |
自動車関連費用は家計に多大なるダメージを与えてきますから、不要不急の外出を控えたり、今流行の走行距離に応じて保険料が変わる任意保険を選んだり、1円でも安いガソリンスタンドを探したり、グレードの低いオイルやタイヤでお茶を濁したり…と、あの手この手で工夫して耐え忍びましょう。
「しかし物には限度がある、数年単位の維持費を考えると気が滅入る、だが車は必要だ、背に腹は代えられぬ…」というときは、排気量が小さくて燃費が良くて、車両重量の軽い車に乗りかえるという選択をしますと、各種税金や保険料、車検費用などなどトータルの維持費が格段に抑えられお財布もニッコニコです。
1km走行コストと月間&年間交通費
距離/日 | 費用/日 | 月換算 | 年換算 |
---|---|---|---|
10km | 90円 | 2000円 | 2.3万円 |
20km | 180円 | 4000円 | 4.7万円 |
30km | 270円 | 5900円 | 7.0万円 |
50km | 440円 | 9700円 | 11.4万円 |
100km | 890円 | 19600円 | 23.1万円 |
さて、レギュラーガソリン1リットルの燃料価格を165円、燃費を18.6km/Lとしたとき、1km走行あたりのコストは8.87円になります。
たとえばこの車を通勤車とした場合、1日の走行距離が10kmなら燃料代は90円/日となり、20km走行なら180円/日、30km走行なら270円/日、50km走行なら440円/日、100km走行なら890円/日かかる計算です。
1か月の労働日数を22日として計算すると、通勤距離が30kmなら月間の走行距離は660kmで燃料代は5900円/月、1年間の労働日数を260日とすると年間の走行距離は7800kmで燃料代は7.0万円/年という塩梅です。
カタログデータから見えてくる要素
F5B型エンジン簡易性能曲線図 | |
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各回転域での馬力 | |
4000回転時の馬力 | 44PS |
7500回転時の馬力 | 64PS |
7500回転時の馬力 | 64PS |
各回転域でのトルク | |
4000回転時のトルク | 7.8kgm |
7500回転時のトルク | 6.1kgm |
7500回転時のトルク | 6.1kgm |
F5B型エンジンの性能 |
まずおさらいとして、搭載しているF5B型547cc、直列3気筒のターボエンジンは7500回転時に最高出力64馬力を、4000回転時に最大トルク7.8kgmを発生します。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力が計算できますので、それぞれの点と点とを線で繋いでパワーカーブとトルクカーブのエンジン性能曲線図もどきを作ってみました。
トルクの山が中央より左にあるか右にあるかを基準にしてエンジン特性を探ってみますと、低めの回転数から中間域にトルクのピークがあるこのエンジンは、街中での普段使いに心地よく、高回転もそれなりでバランスの取れたタイプです。多くの乗用車がこの特性に当て嵌まるのではないかと思います。
※実際のところは車両重量やギヤ比、排気量に対する気筒数の多少によって印象が異なってくると思います。
ちなみに、エンジンのパワーバンドを「最大トルクが発生する4000rpmから最高出力が発生する7500rpmまで」の3500rpmとしたときの、最高回転数に対するパワーバンドの割合は46.7%となります。※右記(下記?)簡易性能曲線図オレンジ色の帯域
最高出力ランキング リスト |
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軽自動車クラス編 |
スズキの軽自動車編 |
最大トルク ランキング リスト |
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軽自動車クラス編 |
スズキの軽自動車編 |
うわっ…私の体重、重すぎ…?
さて、車の速さを知るための指標としてよく使われる パワーウェイトレシオ は9.844kg/PS(630kg/64PS)となっていますが、巷でよく見るであろうこの数値の多くはドライバーが乗った状態でのものではなく、あくまでも車両重量と最高出力のみで計算したものです。
車重と搭乗者とPWR | |
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車体のみ | 9.844kg/PS |
車体+1人 | 10.703kg/PS |
車体+4人 | 13.281kg/PS |
お腹と車重とPWR | |
車体+60kg | 10.781kg/PS |
車体+70kg | 10.938kg/PS |
車体+80kg | 11.094kg/PS |
車体+90kg | 11.250kg/PS |
車体+100kg | 11.406kg/PS |
というわけで、車両総重量の求め方に倣い人間の体重55kgを加えて計算し直してみますと、ドライバーのみが搭乗したときのパワーウェイトレシオは10.703kg/PS(685kg/64PS)となり、数値としては0.859kg、比率にすると8.7%ほど悪化します。
次に乗車定員いっぱいの4人が搭乗した場合、車両重量に220kgがプラスされてパワーウェイトレシオは13.281kg/PS(850kg/64PS)となり、数値としては3.437kg、比率にすると34.9%も悪化することになります。
もともとが重量級の車であれば、人が少々乗ったところで体重の占める割合が小さいことから変化も小さいですが、軽量級の車ではお腹まわりのお肉が大きな影響力を持つことがわかります。
CL11V アルト ワークスのライバル候補車たち
愛すべきライバル車種 | |
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1988/09![]() - |
アルト ワークス 10.703kg/PS 685kg/64PS|0.6L-TB [車体のみPWR:9.844] |
2017/12![]() 車種詳細 |
クロスビー 10.657kg/PS 1055kg/99PS|1.0L-TB 車体のみPWR:10.101 |
2016/09![]() 車種詳細 |
フリード 10.802kg/PS 1415kg/131PS|1.5L-NA 車体のみPWR:10.382 |
2013/12![]() 車種詳細 |
ハリアー 10.695kg/PS 1615kg/151PS|2.0L-NA 車体のみPWR:10.331 |
2016/02![]() 車種詳細 |
イグニス 10.714kg/PS 975kg/91PS|1.3L-NA 車体のみPWR:10.110 |
2011/09![]() 車種詳細 |
1シリーズ 10.699kg/PS 1455kg/136PS|1.6L-TB 車体のみPWR:10.294 |
車両重量にドライバーの体重を加えますと、過去に見てきたパワーウェイトレシオ界隈の様相も変わってくることがわかりましたので、ここでは余興としてドライバー込みのパワーウェイトレシオ10.703kg/PSと近い数値を持つ車種をいくつかピックアップしてみます。
10.596kg/PSから10.810kg/PSの範囲で人気度を優先して選んでみたところ、スズキの5人乗りSUV「MN71S型 クロスビー」、ホンダの7人乗りミニバン「GB5型 フリード」、トヨタの5人乗りSUV「ZSU60W型 ハリアー」、スズキの5人乗りSUV「FF21S型 イグニス」、BMWの5人乗りハッチバック「1A16型 1シリーズ」という顔ぶれが並びました。
「えっ!あの車がライバル!?(大歓喜)」だったり、あるいは「えっ…あの車がライバル…?(大号泣)」だったり悲喜こもごもありましょうが、数値の上では「良き隣人」ということになります。
●CL11V型 アルト ワークス [WORKS RS/X]とパワーウェイトレシオが近い車種|10.703kg/PS
ちなみに、日本では Power Weight Ratio(1馬力あたりが担う重量)が自動車の加速性能を推測する指標としてよく用いられますが、海外では Power to Weight Ratio(車両重量1トンあたりの出力)という指標が重用され、こちらの数値は101.6PS/tとなっています。
アルト ワークスがバイクと競争するなら…?
![]() 車種詳細 |
マジェスティ250|249cc 10.667kg/PS 224kg/21.0PS/2.40kgm [車体のみPWR:8.048] 1速ギヤ速度:37.8km/h 最小TWR:1.085 |
1988/09![]() - |
アルト ワークス|547cc 10.703kg/PS 685kg/64PS/7.8kgm [車体のみPWR:9.844] 1速ギヤ速度:62.9km/h 最小TWR:1.796 |
![]() 車種詳細 |
スカイウェイブ250|249cc 10.739kg/PS 247kg/23.0PS/2.50kgm [車体のみPWR:8.348] 1速ギヤ速度:37.1km/h 最小TWR:1.008 |
幸か不幸か、自動車に魅入られてしまった人はバイクにも並々ならぬ興味があったりします。バイクという乗り物は往々にして、見るからに速そうならきっちりと速いもので、高回転高出力のエンジンと超軽量な車体を武器に、目にも留まらぬ速さで点になります。
などと、酸いも甘いも噛み分けすぎて達観したようなことを言っても人生つまりませんので、ここではアルト ワークスとパワーウェイトレシオが近いバイクを探して、ああでもない、こうでもないを楽しみましょう。
SG01J マジェスティ250と競争してみる
まずアルト ワークスより少しPWRが低いバイクとして、ヤマハのマジェスティ250が挙げられます。PWRの10.667kg/PSは車両重量169kgにライダーの体重55kgを加えた224kgを、最高出力21.0PSで割ったものです。
自動車であれバイクであれ、最も鋭い加速を見せるのは、最も低いギヤ比(変速比)のときですので、各々の1速ギヤ最高速と、1速ギヤかつ最大トルク発生時のトルクウェイトレシオを比べてみますと、1速ギヤ最高速はマジェスティ250に25.1km/h勝り、1速TWRは0.711kg劣る、という結果になりました。※1速TWRは車体のみの数値(今後の課題)
CJ43A スカイウェイブ250と競争してみる
続いて少しPWRが高いバイクとしては、スズキのスカイウェイブ250が挙げられます。PWRの10.739kg/PSは車両重量192kg+55kgの247kgを、最高出力23.0PSで割ったものです。こちらも同様に比べてみますと、1速ギヤ最高速は25.8km/h勝り、1速TWRは0.788kg劣る、という結果になりました。
その他の諸元いろいろ
いろいろな数値 | |
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WB/TR比 | 1.925 |
平均ピストンスピード | 13.75m/s |
トルクウェイトレシオ | 80.77kg/kgm |
1馬力あたりのお値段 | 15734円 |
排気量1Lあたり馬力 | 117.00PS/L |
排気量1Lあたりトルク | 14.26kgm/L |
1気筒あたりの馬力 | 21.3PS |
1気筒あたりのトルク | 2.6kgm |
パワーバンド比率 | 46.7% |
燃費×馬力 | 1447.0pt |
各種ランキング | |
ミニバン・1BOXのPWR 軽自動車のPWR(ターボ) |
トルクウェイトレシオは80.77kg/kgm(630kg/7.8kgm)なのですが、トルクについてはギヤ比でどうにでもなりますので、ここでの大小はあまり重要ではありません。(詳しくはギヤ比編にて)
ついでに馬力単価を計算してみると、お値段が1007000円、最高出力が64馬力であるこの車の場合、1馬力あたりのお値段は15734円、逆に1万円あたりでは0.64馬力を得ることができます。ついでのついででトルク1kgmあたりのお値段は129103円、1万円あたりでは0.08kgmとなります。
1馬力あたりのお値段が安い車ランキング |
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総合ランキング |
スズキ編 |
軽自動車編 |
編 |
●最高出力を排気量で割ったリッター換算馬力は117.00PS/L、トルクは14.26kgm/L、1気筒あたりの馬力は21.3馬力、トルクは2.6kgmとなり、このエンジンが64馬力を7500回転で発生させているときの平均ピストンスピードは13.75m/sです。
排気量1リットルあたりの馬力ランキング
ちなみに、ストローク量が55.0mmであるF5B型エンジンの場合、平均ピストンスピードの上限を20.0m/sとしたときの高回転化の上限は10910回転です。設定されているレブリミットがこの回転数を超えている場合、長年に亘って平均ピストンスピードの目安とされてきた20.0m/sを超えてピストンが往復運動していることになります。レブリミットがこの回転数以下の場合は高回転化してパワーを引き出すチューニングの目安になるかもしれません。
平均ピストンスピードが速い車ランキング
●この車のホイールベースを前後トレッドの平均で割って算出されるホイールベーストレッド比は1.925になります。全ての車種の平均値である1.753を基準にざっくりと分類すると、小回りよりも真っ直ぐ進むことを得意とする傾向にある車と言えそうです。
ホイールベーストレッド比が小さい車ランキング
●低燃費かつ高出力な車を調べるための指標として「燃費×最高出力」の数値を用いる場合、燃費が15.81km/L、最高出力が64PSであるこの車の獲得ポイントは1447.0ptになります。
戯れに車両重量630kgを100kg単位にした6.3で割ってみたところ、その数値は229.69ptとなりました。(燃費が良くてパワーがあって速い車を探すのに使えるかも?)
- 低燃費で高出力な自動車ランキング
燃費×最高出力の数値順。燃費が良くて高出力なほど高得点。 - 低燃費で高出力で軽量な自動車ランキング
燃費×最高出力÷車両重量の数値順。燃費が良くて高出力で車両重量が軽いほど高得点。
アルト ワークスでの車中泊
荷室寸法 | |
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荷室長 | 1.020m |
荷室幅 | 1.210m |
荷室高 | 0.830m |
対角線の長さ | 1.583m |
荷室の床面積 | 1.234m² |
荷室の容積 | 1.024m³ |
商用車(貨物車・バン)は乗用車とは違ってカタログに荷室寸法が明記されておりますので、ここではその寸法を使って車中泊の可能性を探ってみます。
貨物車は荷物がたくさん積めてこそ、フルフラットな荷室があってこそという性質を持った車ですから、車中泊の適性は非常に高いものと思われます。
が、しかし、縦方向の長さが1.020m(対角線では1.583m)しかないとなると、これはもう常識的に考えてかなり厳しい車中泊を強いられます。運転席あるいは助手席を後ろに倒して寝たほうがまだマシかもしれません。俗に言う体育座りの体勢で横になれば寝られないこともないでしょうが、寝れども寝れども疲れは取れない上に猛烈な腰痛で目を覚ましかねず、実に爽やかな笑顔で「もう二度と車中泊なんてしないよ!」と後日談を語ることになりかねません。
●車中泊にあると嬉しいアイテム
アルト ワークスのスペース効率
車体の大きさと荷室の広さの比率 | |
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全長に対する荷室長の比率 1.020m÷3.195m |
31.9% |
全幅に対する荷室幅の比率 1.210m÷1.395m |
86.7% |
全高に対する荷室高の比率 0.830m÷1.375m |
60.4% |
車体に対する荷室の比率 1.024m³÷6.128m³ |
16.7% |
貨物車は貨物車であるがゆえに、いかに効率よく大量に荷物を載せ、運搬できるかが重視されます。これはかつて、ある自動車メーカーが標榜したMM思想、いわゆる「マン・マキシマム&メカ・ミニマム」の精神を感じさせ、言うなれば「荷室を最大限に、人と機械は最小限に」ってなものです。
というわけで、荷室の各寸法と車体の各寸法の比率がどの程度であるかを見てみます。己の全てを荷室に捧げるバンは快適性に媚を売るそこらの軟弱乗用車とは違い、ペラペラ内装と紙装甲こそがアイデンティティであり、ドアを閉めればバァン!と轟音を響かせて(バンだけに)アピールしてくるほどですから、かなりの数値が期待ができます。
荷室長の比率は荷室長1.020m÷全長3.195mで31.9%、荷室幅の比率は荷室幅1.210m÷全幅1.395mで86.7%、荷室高の比率は荷室高0.830m÷全高1.375mで60.4%、荷室の比率は荷室容積1.024m³÷車体体積6.128m³で16.7%となりました。
アルト ワークスの燃料タンクと燃費と航続距離と
燃料タンクと燃費と航続距離と | |
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10・15モード燃費 | 18.6km/L |
燃料タンク容量 | 30L |
航続距離(カタログ燃費) | 558.0km |
航続距離(80%燃費) | 447.0km |
満タンプライス | 4950円 |
1万円でどこまで行ける? | 1127.3km |
車両価格/航続距離 | 1805円/km |
10・15モード燃費が18.6km/Lですので、燃料タンクの容量が30リットルですと航続可能距離は558.0kmになります。(カタログ燃費通りに走行できた場合)
実際にはそうもいきませんから、オイル交換やタイヤ空気圧の管理といった定期メンテナンスを確実に実施した上での実燃費をカタログ燃費の90%(16.7km/L)とすると501.0km、80%(14.9km/L)だと447.0km、70%(13.0km/L)では390.0kmという航続距離になります。
燃料タンクに1滴の燃料もないスッカラカンの状態から満タンにしたときの金額を計算してみますと、レギュラーガソリン30リットルの給油で4950円、上で計算した航続距離を踏まえると558.0km(80%燃費時447.0km)を走行するのに4950円かかる計算です。
ついでに1万円の燃料代でどこまで行けるかも計算してみますと、カタログ通りの燃費で走行できれば1127.3km(往復なら片道563.6km)、カタログ値の80%なら901.8km(片道450.9km)離れたところまで行くことができます。
ちなみに、1回の給油で558.0kmの距離を移動できるCL11V型 アルト ワークス [WORKS RS/X]という乗り物を、100.7万円で手に入れたと考えたとき、この車が1km走行するにあたっては「1805円の値打ちがある!」と言える、かもしれません。
ギヤ比と回転数と速度と駆動トルクとトルクウェイトレシオのステキな関係
続いてギヤ比を見てみます。あるギヤで走行中にエンジン(正確にはクランクシャフト)をレブリミットまで回したときの速度と、レブリミットでシフトアップした後の回転数を計算するためには、何回転で回転リミッターが働くのかを知らねばなりません。
しかし具体的な数値を知るにはECU(エンジン・コントロール・ユニット)にあるデータを参照しなければならなかったりで実現は厳しく、ならばとレッドゾーンが始まる回転数から推測しようにも、最近ではタコメータが装着されていない車両が多くあって心が折れます。
ピークパワーが発生する回転数(この車の場合7500rpm)から必要以上に回してもあまり意味はないのでそれを上限としても良いのですが、気分よく運転しているときは往々にして回しすぎるのが常ですから、ここでは500回転をプラスした8000回転を仮のレブリミットとして計算してみます。
暫定レブ 8000rpm|タイヤサイズ 155/65R13|タイヤ直径 53.2cm|円周長 167.1cm | |||||||
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ギヤ | ギヤ比 | 総減速比 | ステップ比 | シフトアップ 後の回転数 |
8000rpm の速度 |
100kmh の回転数 |
タイヤの 最大駆動力 |
1速 | 2.727 | 11.96 | - | - |
67km/h | 11930rpm | 350.7kgm |
2速 | 1.536 | 6.74 | 0.563 | 1-2/ 4500rpm |
119km/h | 6720rpm | 197.5kgm |
3速 | 1.000 | 4.39 | 0.651 | 2-3/ 5210rpm |
183km/h | 4370rpm | 128.6kgm |
Final | 4.386 | レシオカバレッジ(変速比幅)2.727 |
ギヤの繋がりイメージ |
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- ステップ比(歯車比)とは隣接したギヤ同士の離れ具合を示した数値で、1.000に近いほどシフト操作後の回転数の変化が小さく(ギヤ同士の繋がりが良い)、離れるほど変化が大きく(繋がりが悪い)なることを表します。
- シフトアップでは現在の回転数にステップ比を乗じた回転数まで下がり、シフトダウンでは現在の回転数にステップ比を除した回転数まで上がります。
- 赤い数字はシフトアップ後にパワーバンドの下限(最大トルク発生回転数4000rpm)を下回るもの。
- 時速100kmでの回転数は100km/h÷60÷タイヤ円周長×各ギヤ比×ファイナルギヤ比(4.386)で算出。
- タイヤの最大駆動力は最大トルク(7.8kgm)×各ギヤ比×ファイナルギヤ比(4.386)÷タイヤの有効半径(0.266m)で算出。
ただし、ATおよびCVTにあるトルクコンバーターでのトルク増幅効果は考慮できていません。
本来のレブリミットとは異なるので最高速の数値は前後しますが、上記の設定での最高速度は3速ギヤの183km(7500rpmでは171.4km/h)となります。この速度は空気抵抗、パワー不足、スピードリミッターなどネガティブ要素の一切を無視して、単にギヤ比とエンジン回転数、タイヤサイズだけで計算した速度です。
おまけ:7500rpmでシフトアップする場合の各ギヤ速度
7500rpmでの速度と シフトアップ後の回転数 | ||
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ギヤ | 速度 | 回転数 |
1速ギヤ | 63km/h | - |
2速ギヤ | 112km/h | 4220rpm |
3速ギヤ | 171km/h | 4880rpm |
CL11V型アルト ワークスに搭載されたF5B型547ccエンジンのレブリミットを、最高出力が発生する7500rpmとしてシフトアップするときの速度をシミュレートしてみます。
まず1速ギヤで7500rpmまで引っ張ると63km/hまで加速し、2速ギヤにシフトアップすると回転数は7500rpmから4220rpmまで落ち、そこから7500rpmまで加速を続けると速度は112km/h(+49km/h)になります。
3速ギヤでは4880rpmまで落ちて7500rpmで171km/h(+59km/h)に、に、という具合に加速していくイメージです。
タイヤの最大駆動力にある数値は、エンジンが4000回転で最大トルク7.8kgmを発生しているとき、各々のギヤを介したのち実際にタイヤへと伝えられるトルクで、この数値が大きいほどタイヤを回そうとする力が大きく、より力強い加速をすることができます。
この数値を大きくするにはギヤ比を低く(加速重視・ローギヤード)する、タイヤを小径化する、エンジンの最大トルクを大きくするという方法があります。逆にギヤ比を高く(最高速重視・ハイギヤード)したり、タイヤを大径化したり、デチューンして非力にすると駆動トルクは小さくなって加速が鈍ります。さて、世の中にはパワーウェイトレシオ(1馬力が担う重量・PWR)に似ているようで少し違うトルクウェイトレシオ(1kgmが担う重量・TWR)という指標があります。単純に車両重量を最大トルクで割れば80.77kg/kgmですから、パワーウェイトレシオ(9.844kg/ps)に比べると霞んで見えます。
しかしトルクはギヤを介することで増幅され、たとえば1速ギヤの場合ですと350.7kgmになります。これを踏まえて改めて車両重量(630kg)を1速ギヤの最大駆動力(350.7kgm)で割ってみると1.796kg/kgmとなり、今度は逆にPWRが霞んで見えるような数値が出てきます。最高出力が発生する7500回転でのトルク(6.1kgm)からTWRを算出すると2.30kg/kgmとなり、4000-7500回転の回転域では1.796-2.30kg/kgmの間で推移することがわかります。
ある速度における各ギヤでの回転数
ギヤ | 40 km/h |
60 km/h |
80 km/h |
100 km/h |
120 km/h |
140 km/h |
180 km/h |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1速 | 4770 | 7160 | 9540 | 11930 | 14320 | 16700 | 21470 |
2速 | 2690 | 4030 | 5380 | 6720 | 8060 | 9410 | 12090 |
3速 | 1750 | 2620 | 3500 | 4370 | 5250 | 6120 | 7870 |
この項目では各々のギヤと速度を基準として、任意のギヤを選択中に時速40km~180kmにて走行するとき、エンジンの回転数がどのくらいになるのかを一覧表にしてみました。この車の場合、最も高いギヤ(1.000)を選択して時速100kmにて走行すると4370回転まで回ります。
ちなみに、一般道の速い流れやバイパスでよくある60km/hでは2620回転、対面通行の高速道路での制限速度70km/hでは3060回転、一般的な高速道路の80km/hでは3500回転、100km/hでは4370回転、制限速度が120km/hになると5250回転、軽自動車の速度リミッターが働く140km/hでは6120回転になります。仮にリミッター解除で180km/hまで出たとすると7870回転まで回ります。
時速100kmでの巡航回転数が4000回転を超えてくるような車は、これはもう加速しか眼中にない純然たる競技車両であるとか、「とにもかくにもパワーがなくて高いギヤ比なんてとんでもない!」という貧相極まるエンジンを搭載しているとか、「時速60km出れば問題ない、だってバンだもの!」などという潔い割り切りをしている車以外にありえません。ここまで来ると「壊れるものなら壊れてみろ!」とエンジンに挑むくらいの覚悟がなければ愛せません。ある回転数における各ギヤでの速度
ギヤ | 1000 rpm |
2000 rpm |
3000 rpm |
4000 rpm |
5000 rpm |
6000 rpm |
7000 rpm |
8000 rpm |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1速 | 8 | 17 | 25 | 34 | 42 | 50 | 59 | 67 |
2速 | 15 | 30 | 45 | 60 | 74 | 89 | 104 | 119 |
3速 | 23 | 46 | 69 | 91 | 114 | 137 | 160 | 183 |
この項目では各々のギヤとエンジンの回転数を基準として、任意のギヤを選択中にエンジンを1000回転刻みで8000回転まで回したとき、それぞれのギヤでどのくらいの速度が出ているのかを一覧表にしてみました。暫定レブリミット(8000回転)よりも回転数が高くなる欄の速度については赤文字で表記してあります。
純正装着タイヤの155/65R13と互換可能な車検対応サイズ|簡易版
下の表では純正サイズを基準としてタイヤ幅を-20mmから+20mm、扁平率を-5%から+5%まで変化させたときのスピードメータ誤差が、マイナス方向を水色、-5.0%から+2.0%までを緑色、+6.0%までを橙色に着色しています。
※ここではタイヤの直径(外径)のみを基準としています。タイヤの幅を広くしすぎてサスペンションと干渉したり、はみ出てしまって車検に通らないからとフェンダーを叩いたり引っ張ったりキャンバーを付けたりで四苦八苦、ホイール幅が狭すぎてなんかイマイチ…という事例もありますので、ホイールのオフセットとリム幅にはご注意ください。
純正タイヤ 155/65R13 | 直径 532mm | |||||
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-20mm 幅135mm |
-10mm 幅145mm |
変更なし 幅155mm |
+10mm 幅165mm |
+20mm 幅175mm |
|
-5% 60 扁平 |
135/60R13 37.0km/h 直径492mm 径差-40mm |
145/60R13 37.9km/h 直径504mm 径差-28mm |
155/60R13 38.8km/h 直径516mm 径差-16mm |
165/60R13 39.7km/h 直径528mm 径差-4mm |
175/60R13 40.6km/h 直径540mm 径差+8mm |
0% 65 扁平 |
135/65R13 38.0km/h 直径506mm 径差-26mm |
145/65R13 39.0km/h 直径519mm 径差-13mm |
155/65R13 40.0km/h 532mm 0mm |
165/65R13 41.0km/h 直径545mm 径差+13mm |
175/65R13 42.0km/h 直径558mm 径差+26mm |
+5% 70 扁平 |
135/70R13 39.0km/h 直径519mm 径差-13mm |
145/70R13 40.1km/h 直径533mm 径差+1mm |
155/70R13 41.1km/h 直径547mm 径差+15mm |
165/70R13 42.2km/h 直径561mm 径差+29mm |
175/70R13 43.2km/h 直径575mm 径差+43mm |
+10% 75 扁平 |
135/75R13 40.1km/h 直径533mm 径差+1mm |
145/75R13 41.2km/h 直径548mm 径差+16mm |
155/75R13 42.3km/h 直径563mm 径差+31mm |
165/75R13 43.5km/h 直径578mm 径差+46mm |
175/75R13 44.6km/h 直径593mm 径差+61mm |
もし上記表の中から車検に安心なタイヤを選ぶのであれば、メーター誤差が-5.0%から0%の間にあって車高への影響も少ない 、135/65R13、135/70R13 、145/65R13 、155/60R13 、165/60R13 あたりのタイヤがおすすめです。
155/65R13のタイヤ幅を135mmから185mmまで、扁平率を50%から80%までの範囲に拡大した適合タイヤの一覧表および、100km/h回転数、加速力と最高速の変化、走行距離計の誤差による実燃費とのズレについては、155/65R13の適応サイズと性能の変化 [CL11V型アルト ワークス編]のページをご覧ください。
純正のホイールサイズから大径化したり、幅の広いタイヤ、扁平率の低いタイヤに交換しようとするとタイヤ代が高くなる傾向にありますので、少しでも維持費を抑えたい、今はお財布の中身が心許ないといった際にはオートウェイのタイヤ通販をご覧ください。
CL11V型アルト ワークス[0.55Lターボ FF/3AT]の通知表
ここではこのページを締めくくる集大成として、パワーウェイトレシオや1速ギヤでの加速性能、排気量1Lあたりの出力、ホイールベーストレッド比からなるスポーツ性能部門と、時速100kmでの巡航回転数、燃費、車体の大きさ、室内の広さからなるユーティリティ部門とに大別し、このサイトで登録している全車種の平均値から偏差値を求めて優劣を調べてみたいと思います。
スポーツ性能部門 | ||
---|---|---|
評価項目 | 数値 | 得点 |
パワーウェイト | 9.844kg/ps | 49.64 |
1速ギヤ加速性能 | 1.796kg/kgm | 45.40 |
1L換算馬力 | 117.00ps/L | 55.40 |
1L換算トルク | 14.26kgm/L | 45.19 |
WB/TR比 | 1.925 | 34.33 |
ワイド&ロー指数 | 0.986 | 42.92 |
前面の面積 | 1.918m² | 70.05 |
最低地上高 | 140mm | 55.66 |
スポーツ性能部門の得点 | 398.59 |
※ここではパワーウェイトレシオ・1速ギヤ加速性能・ホイールベーストレッド比・ワイド&ロー指数・前面の面積については数値が小さいほど高得点。リッター換算馬力・換算トルクについては数値が大きいほど高得点としています。
ユーティリティ部門 | ||
---|---|---|
評価項目 | 数値 | 得点 |
10-15燃費 | 18.6km/L | 62.19 |
年間維持費 | 188610円 | 62.71 |
100kmh回転数 | 4370rpm | 25.39 |
航続距離 | 558.0km | 40.90 |
車の大きさ | 6.128m³ | 28.68 |
室内の広さ | 1.024m³ | 26.74 |
最小回転半径 | 4.6m | 61.88 |
馬力単価 | 15734円 | 57.40 |
ユーティリティ部門の得点 | 365.89 |
※ここでは燃費・航続距離・車の大きさ・室内の広さは数値が大きいほど高得点、年間維持費・100km/h回転数・最小回転半径・馬力単価は数値が小さいほど高得点としています。
スポーツ性能部門およびユーティリティ部門の得点を合計した CL11V型アルト ワークス[0.55Lターボ FF/3AT] の総合得点は 764.48 点です。獲得点数が多い車種から順番に並べた 総合得点ランキング を用意してありますので、よろしければご覧ください。
上記リンク先では、今回このページで紹介したCL11V型アルト ワークス(FF/3AT) の各種スペックを、「全ての車種」、「全ての」、「軽自動車の」という属性で評価したとき、それぞれの項目が相対的にどのくらい優れているか、劣っているかを調べてみました。基準が変わると手のひらを返したように評価も変わる様子をご堪能ください。
アルト ワークスの歴代モデル
![]() | 9代目 HA37S型 アルト |
HA37S アルトは2021/12に登場した9代目モデル。参考車両の「A」は全長3395mm、全幅1475mm、全高1525mmの車体に、46PS/5.6kgmを発生するR06A型658ccエンジンを搭載した4人乗り軽ハッチバック。 |
![]() | 8代目 HA36S型 アルト ワークス |
HA36S アルト ワークスは2015/12に登場した8代目モデル。参考車両の「WORKS」は全長3395mm、全幅1475mm、全高1500mmの車体に、64PS/10.2kgmを発生するR06A型658ccエンジンを搭載した4人乗り軽ハッチバック。 |
![]() | 7代目 HA35S型 アルトエコ |
HA35S アルトエコは2011/12に登場した7代目モデル。参考車両の「ECO-L」は全長3395mm、全幅1475mm、全高1530mmの車体に、52PS/6.4kgmを発生するR06A型658ccエンジンを搭載した4人乗り軽ハッチバック。 |
![]() | 6代目 HA24S型 アルト |
HA24S アルトは2004/09に登場した6代目モデル。参考車両の「X」は全長3395mm、全幅1475mm、全高1510mmの車体に、54PS/6.2kgmを発生するK6A型658ccエンジンを搭載した4人乗り軽ハッチバック。 |
![]() | 5代目 HA22S型 アルト ワークス |
HA22S アルト ワークスは1998/10に登場した5代目モデル。参考車両の「WORKS RS/Z」は全長3395mm、全幅1475mm、全高1450mmの車体に、64PS/10.8kgmを発生するK6A型658ccエンジンを搭載した4人乗り軽ハッチバック。 |
![]() | 4代目 HA21S型 アルト ワークス |
HA21S アルト ワークスは1994/11に登場した4代目モデル。参考車両の「WORKS RS/Z」は全長3295mm、全幅1395mm、全高1380mmの車体に、64PS/10.5kgmを発生するK6A型658ccエンジンを搭載した4人乗り軽ハッチバック。 |
![]() | 3代目 CR22S型 アルト ワークス |
CR22S アルト ワークスは1988/09に登場した3代目モデル。参考車両の「WORKS RS/X」は全長3295mm、全幅1395mm、全高1375mmの車体に、64PS/8.7kgmを発生するF6A型657ccエンジンを搭載した4人乗り軽ハッチバック。 |
![]() | 2代目 CA72V型 アルト ワークス |
CA72V アルト ワークスは1984/09に登場した2代目モデル。参考車両の「WORKS RS-S」は全長3195mm、全幅1395mm、全高1380mmの車体に、64PS/7.3kgmを発生するF5A型543ccエンジンを搭載した4人乗り軽ボンネットバン。 |